まちとひとの
永い関係を育む
公教育の実現

女性1人、男性2人

石川県加賀市で2021年から始まった『高校魅力化プロジェクト』。魅力ある教育環境をつくることを通して、人口減少対策を狙うプロジェクトを推進するのは移住者の3人組。それぞれが移住者の立場から、地元の中高生とまちの未来を紡ぎます。

今回はプロジェクトを推進する地域おこし協力隊の3人に、グループインタビューを実施しました。高校魅力化プロジェクトの意義、実際の活動内容、またプロジェクトのビジョンについてお伺いしました。「地域活性化×教育」や「探究学習」にご関心ある方は必見です。

(2022年2月インタビュー)

 

 

 

高校魅力化を図り、
課題解決に挑む移住者

石川県加賀市で『高校魅力化プロジェクト』が発足した背景には、市内高校の定員割れが課題としてありました。それが市の人口減少に影響しているとの危機意識から、2020年に市高校魅力化コンソーシアムの設立、2021年に『高校魅力化プロジェクト』が始動しました。

高校魅力化プロジェクト自体は島根県海士町の隠岐島前高等学校に代表されるように、すでに全国で事例がある活動です。高校が無くなることでまちからの人口流出が加速する前に、魅力的な学校づくりを地域として取り組むことで、地域への人流づくりをする活動です。

石川県加賀市では教育委員会を中心に、全国でプロジェクト推進の実績がある株式会社Prima Pinguinoと連携、また地域事情に詳しい公益財団法人あくるめが地域サポーターとして協力しながら高校魅力化プロジェクトを推進しています。

実際の現場で支援活動をするために私たち3人が『魅力化スタッフ』として、2021年に地域おこし協力隊に着任しました。3年間の任期で加賀市に高校魅力化プロジェクトが浸透するように、基盤づくりを担っています。

★魅力化スタッフご紹介!

重吉 祐輔さん

ファッション、音楽が好きな‘’オシャレ番長‘’!

黒いマスクと服の男性

重吉さんについて

勝尾 亜矢子さん

悩むよりも行動派!海外経験も豊富です。

マスクした女性

勝尾さんについて

山口 寛史さん

ゲームとキャリア教育をこよなく愛しています。

マスクした男性

山口さんについて

 

 

探究学習支援が、
私たちの役目

私たちの主な活動は2つあり、1つは市内高校の探究学習科目『総合的な探究の時間』のサポート。もう1つは中高生向けのフリースペース『ここらぼ』の運営です。

『総合的な探究の時間』とは?

総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。

引用:文部科学省「総合的な学習(探究)の時間

 

短期的には高校の定員割れを防ぐこと、長期的には市の人口減少の抑制がプロジェクトの目標ですが、現段階では目の前の高校生と向き合うことを大切にしています。高校生が毎日を楽しく、かつ自分の成長や学びを実感できるようなサポートをしたいと思っています。

 

そのため私たちが果たすべき役割は、中高生の可能性を広げること。ともすれば視野が狭くなりがちな中高生が「選択肢に気づき、選ぶ力」、そして「自ら選択肢を作り出す力」を育めるような環境づくりが必要です。それには地域との関わりも不可欠ですので、地域交流が生まれる触媒のような役割も担えたらと思います。

 

 

学校と地域を繋ぎ、
先生と高校生を見守る

具体的な活動の1つが『総合的な探究の時間』のサポートです。市内の高校に私たちが出向き、実際に授業のサポートをしています。1つお伝えしたいのが、私たちは高校の課題解決のために居るわけではありません。むしろ現場に出ることで気づいた良さがありました。

例えば先生と高校生の間では、既に信頼関係が築かれていたんです。どうしても授業内では先生が主体となりがちですが、その中でも高校生は自ら探究課題に向き合っている。またその姿勢を先生たちは全力でサポートしている、そんな良好な関係性がすでに構築されていました。

複数の高校生の前で話す3人
高校での活動の様子 

 

ただ、先生たちはメイン科目を抱えながら『総合的な探究の時間』を進めなくてはなりません。世の中に浸透しておらず、そして学校側も慣れていない科目を先生だけで進めるのは、相当な負担となっているのが実情です。

一方の高校生といえば、案外石川県加賀市のことはよく知らないものです。例えば山代温泉付近に住む人は、近隣の片山津温泉についてよく分かっていないように、生活圏以外の地域については分からないことがあります。まち全体の良さに気づかず、卒業して地域外に行ってしまうのは勿体ないですよね。

私たちが授業に入りこみ、高校生に石川県加賀市の魅力を伝える。ときには地域と学校が繋がれるような機会を作ることで、授業に厚みをもたす。高校生にとっては新たな選択肢を提供する存在として、先生にとっては痒い所に手が届く存在としてお役に立てればと思います。

★コラム記事 「選択する力」とは?

グループインタビュー途中で「選択する力」について熱く語る場面がありました。その様子を石川県加賀市で高校魅力化プロジェクトに取り組む3人が語る、「選択する力」の重要さとは。ご紹介していますのでぜひご覧ください。

女性1人、男性2人が話している

 

 

選択肢を広げる第3の場
探究学習の課外活動 

中高生の選択肢を広げるもう1つの活動が、中高生向けフリースペース『ここらぼ』の運営です。学校外での探究活動ができる拠点であり、課外活動としての利用をイメージしています。

学校での探究学習を深めたい方、なんとなくモヤモヤを抱えている方は積極的に利用してほしいです。中高生の自己理解が深まる場になってほしいと思います。

『ここらぼ』には魅力化スタッフが常駐していますが利用者は勉強したり、遊んだりと、基本的には自由に過ごすことができます。もちろん困りごとや悩みごとがあれば、常駐スタッフにいつでもご相談できます。中高生の方はぜひ一度お越しください。

ここらぼ内装
フリースペース『ここらぼ』の内観

 

場としてのイメージは、秘密基地ですね。ワクワクするし、第3のホームだし、好奇心を種に何かが生まれる場。誰かに与えられるわけでなく、自ら遊びを創造するDIY精神みたいなものが身についてほしいです。

最近は1日に何人かずつ、新しい利用者が来てくれています。興味があるけど行くのが不安と思う方は、初めて来るのはあなただけではない、だから安心してほしいです。ここに踏み出した勇気を私たちは歓迎します。

 

 

高校魅力化は
地域の未来への投資

『総合的な探究の時間』のサポート、中高生フリースペース『ここらぼ』の運営を通して、私たちと関わった地域の中高生が、10年後になって「加賀市だから成長できたんだ!」と思ってもらえるのを夢見ています。たとえ将来彼らが地域を出たとしても、本人達にとってかけがえのない財産となるはずです。

そのために私たちができることは、中高生に対して探究の種を蒔き、その芽を地域をあげて育むこと。そのような関わりなしにはまちへの愛着も生まれないと思います。

高校魅力化プロジェクトとは、わば地域の魅力を中高生が知り、そして地域を誇れる人口を増やすプロジェクト。将来彼らが加賀市が好きなら残ってもいいし、一度地域から出た後にUターンしてもいい。どちらにせよ、長期的にみたときに加賀市の人口減少対策に繋がると考えています。

加賀市の中高生は、まずは私たちと関わってみませんか。地域を知る、探究心を深めるお手伝いをします。また、魅力ある教育環境を求める移住希望者などについてもぜひ石川県加賀市へお越しください。

 

 

探究拠点をめぐる
移住体験ツアー

地方の教育環境にご心配の方必見!子どもの探究力を育む「魅力ある習い事」を、地域に詳しい移住コーディネーターがご案内します。

参加費は無料。地方での子育てを考えている方にオススメのプログラムです。

5人の人が雪道の上にいる

魅力的な習い事を巡る移住体験ツアー

 

場所 大聖寺駅前フリースペース『ここらぼ』
住所 加賀市熊坂町二5番地1(歴町センタービル2階)
開館時間 月~金 16:30~20:30
※祝日、連休等は要確認
利用料 無料
対象者 加賀市内の中高生
連絡先 kaga.miryokuka@gmail.com