心地よく生きる場を
創造し続ける
デザイナーの暮らし

玄関先に男性

移住者インタビュー
河西 紀明さん Kawanishi Noriaki

コロナ禍をきっかけに、にわかにテレワーク移住が注目されています。しかしながら住居だけを見つけてテレワーク移住した結果、地域とうまく馴染めなかった、自分のライフスタイルにフィットする環境を作れなかったなどのケースがあるようです。移住後のミスマッチを防ぐためにも、テレワーク移住の実践者の話から移住イメージを膨らませるのが得策です

コロナ以前からテレワークや2拠点居住を実践してきた合同会社DMM.comの河西さん。会社員・フリーランス・ゲストハウス管理人など多彩な顔を持つ河西さんにテレワーク移住について取材しました。そこで確認できたのは、ワークとライフが統合するようにデザインされた『ライフインテグレーション』な暮らしぶりでした。

(2021年1月インタビュー)

 

 

 

職住融合な移住生活
複業デザイナーの確立

石川県野々市市で育ちました。石川県加賀市の黒崎町は河西家一族の実家で、夏休みなどに帰省したりと祖父の元へ度々訪れていましたね。

祖父が亡くなったので、空き家になった家を僕と弟で活用方法を考えるように。僕自身スローライフな田舎暮らしに憧れていたのもあり、ゆくゆくは移住を考えてはいましたが、結果的に空き家問題が移住を後押しする要因の1つとなりました

ちょうど仕事に自信がついたのもあり、2016年に前職を辞めてフリーランスに。同年に空き家を活用してゲストハウス『黒崎BASE』を立ち上げました。古民家リノベーションや田舎暮らしのコンテンツ化に関心がありましたので、最終的にゲストハウスとして活用することになりましたが、当時は弟が管理・運営をメインで行っていましたね。

看板と家
空き家を活用したゲストハウス『黒崎BASE』

加賀ぐらし『黒崎BASE』紹介記事

加賀市ローカルメディアにて『黒崎BASE』の立ち上げ経緯などが紹介されています。

DIYや農業体験ができる黒崎BASEの管理人は、おじいちゃんの家を継いで頑張る若者だった!

 

フリーランスとして働きながらゲストハウス運営で田舎暮らしを堪能するつもりでしたが、ご縁あって2018年に現職のDMM.comからお声がけ頂きました。副業・2拠点居住OKを前提に雇用いただき、週2回ほど加賀市-東京を往復する生活から始まって次第に週1回のペースに、今では家でのテレワークが中心です。

職住融合の生活の良いところは、自分に使える時間が増えること。現在は会社に勤める「複業デザイナー」として仕事と複業を両立させつつも、ゲストハウス運営にも関われています。どれも僕にとって大事で、それらを実行できているからこそ、とくに最近は充実感があります。

 

 

デザインが根底に流れる
ライフインテグレーション

「デザインすること」自体は単に稼ぐ手段ではなくライフワークであり、人生設計における研究テーマなんです。幼い頃から自然がとにかく大好きで、そこから強い探求心が育まれました。大人になっても仕事やプライベート関係なく、目の前の課題に対して追求したい性分なんです。

デザイナーとして手広く仕事をしていますが、根底にあるものは一緒。デザインは必ずユーザー・組織・社会の課題が先立ち、それらの課題を解決する対価として報酬を頂きます。解決手段として色んな方法やツールを利用しますが、実際はシンプルなことをしています。

室内で男性とPC
「デザインはライフワーク。」と語る河西さん

 

僕のワークとライフの根底にはデザインがあって、そこに共通性を見いだせています。結果的にワークとライフが統合された『ライフインテグレーション』な生き方に。テレワーク移住との言葉が流行っていますが、職住融合する生活のあるべき姿は、人生全体を俯瞰した上での心地よい環境を見つけることだと思います。

夏の日本海
河西さんの住む黒崎町 近くの黒崎海岸 

 

 

テレワーク移住の大前提
あなたが楽しめるか

ライフインテグレーションを実現するには、まずあなたが楽しめるか。「テレワークだからどこでもいい」ではなく、移住先に主体性をもって関わる気持ちが大事です。

僕の場合は祖父の育った町、探求心を育てた想い出ある空き家、自己流のスローライフ実現などから移住ストーリーを語るように、それぞれの経験や個性が活きるような移住ストーリーを紡げるか。またどうすればそのストーリーを実現できるかを考えてみてください。

とにもかくにも、楽しく生活していますよ。7時頃に起き、自転車で橋立漁港に行きます。自ら新鮮な魚を捌いたり、都内の友人や仕事のパートナーに送ったりします。地元の魅力を自分なりに発信する取り組みをしていて、それがけっこう楽しいんです。9時頃に帰宅したら飼っている鶏を庭に離します。その間に朝食ですね。家キャンプ飯を作ります。

鶏が2匹外にいる

調理器具やカメラ

 

会社のコアタイムが10時~19時なので、自宅でテレワーク。ランチの後とかは庭の家庭菜園を楽しんだりしています。仕事が終わった20時以降は複業をしたり、VLOGや文業などで田舎暮らしを発信したりと自分のしたいことをします。

加賀市に拠点を構えるうえで一番不安だったのが、成長の場が遠のいてしまう恐れでした。都内や職場ではたらく同業種の方々と直接的な距離ができてしまい、関わりが薄れてしまうかもしれないからです。

しかし、通信環境を整えてオンライン配信を続けたり、カンファレンスの開催・勉強会の運営を行いつつ、『黒崎BASE』を開発者やクリエイターにとって心地よい場として滞在プランをデザインしたことで、今まで以上にモノづくりに関わる方との直接的な交流が増えていきました。今では地域で働きながら、成長し続ける環境の拡がりを感じることができています。

 

 

デザイナーによる地域貢献
持続する生業を育てる

「ちゃんと稼ぐ」術を持つことは持続する生業をつくるために大事なことで、僕の所属するDMM.comでのモットーでもあります。『デザインで地域の雇用をつくる』が僕の目標です。

そのためには地域との連携が欠かせません。今までのビジネスモデルを活かした「地域のデジタル人財(デザイナー、エンジニアなど)の育成」と「歴史ある地域資源を用いた新規サービス」の2軸です。これらが両輪となり、シナジーを生むような仕組みづくりを考えています。

例えば規格外で捨てられてしまう地域の魚介類や果物を仕入れ、都市住民に届ける新規サービス。フードロス問題を解決しながら稼げるようになれば、そこに雇用が発生します。ただし切り口を変えた新規サービスを提案するうえで、デジタル人財は必須となってきます。

魚介類が並ぶ写真
地元漁港に行き、仕入れてくる魚介類

 

刺身やカニの写真
規格外でも味は一級品

 

このように地域の商いをデザインとテクノロジーの力で拡張したり、地域で頑張る企業のIT人財の成長を支援したりをはじめ、これからの日本の未来をつくる学生やキッズの創造的思考教育/プログラミング思考教育のサポートをする役割を担っていきたいです。

 

 

 

彩りある移住生活を叶える
BASEとなりたい

テレワーク移住を考える方、地方移住を検討する方はとにかく地域に関わることが最初の一歩です。今までの繋がりを絶つのではなく、この地で新たな繋がりをみつけるところから始めましょう。その延長でやりたいことが見つかれば、楽しい移住生活が実現できます。

今後はワーケーションスペースとして『黒崎BASE』に魅力あるコンテンツを増やしていきます。具体的には簡易サウナを導入したり、空き家を一棟購入したり、仕事環境の整備などを考えています。ライフインテグレーションの実現を応援できる拠点にしたいですね。

地域でのハイブリッドな働き方を体感したい方はぜひとも、『黒崎BASE』に訪れていただけると嬉しいです。

鶏と男性

『黒崎BASE』WEBサイト

 

『お試しテレワーク』を体感して
テレワーク移住を叶える

テレワーク移住を考えているあなたへ。生産性はあがるのか、リフレッシできるかなどテレワーク移住への疑問点は多いのでは。

そんな方には『お試しテレワーク』がオススメ。最大1カ月滞在できる体験施設は、滞在費が無料です(水道光熱費は実費)。

女性がPCと本を見ている

「お試しテレワーク」が体感できる拠点