変化を味わう
料理自慢のお宿
渓流と橋のそばでひっそり佇む
有限会社こおろぎ楼
代表取締役 寺井 雅彦 Terai Masahiko
若女将 寺井 美栄 Terai Yoshie
明治期に創業、現在7代目がオーナーシェフとして宿を経営。和のオーベルジュを求めて多くのリピーターがお越しになります。変化を楽しめる宿としてよりよいサービスを追求する姿勢でお客様をお迎えしています。
今回は若女将である寺井さんにインタビューしました。お宿の魅力や特徴、地域に対する宿の価値、また今後取り組む活動についてお聞きしました。将来オーナーシェフの宿で独立開業したい方、おもてなしを追求したい方にオススメです。
(2022年6月インタビュー)
創業135年を迎えた
和のオーベルジュ
創業時は料亭から始まった宿なので、お料理にはこだわりがあります。現社長の夫(7代目)もその系譜を継ぎつつ、新たな取り組みとして、当代から橋立漁港の競りにも参加しています。当館は全6室の小規模なオーナーシェフ旅館で、「みやこわすれ」が宿のコンセプト。四季の移ろいをはっきりと感じることができます。
お客様の利用シーンはお祝いごとや、特別な日などが多いですね。つい最近もプロポーズされたお客様がおりましたが、そのような時間をお過ごしいただけることにやりがいを感じます。また有難いことにリピーターが多く、チェックアウト時に次回予約をいただくことも珍しくありません。
私たち夫婦は食料調達から調理まで行うオーナーシェフの宿ですが、私自身はかつて京都でパティシエをしていました。同じタイミングで夫が料理修業で京都にいたところ出会い、そして結婚を機にお宿の世界へ。夫はオーナーシェフとして包丁を握り、私はデザートを担当しています。
変化こそ楽しみ
画一化されない贅沢
変わらない良さもある中、その一方で変化を感じていただくことも意識しています。リピーターのお客様が多いからこそ、常に新しいものを提供したいと思っています。またここは変化が生まれやすい環境であることも日々実感しています。
要因の1つは季節性。季節性は変化を感じるうえで重要なポイント。山中温泉の名所『鶴仙渓』の上流にかかるこおろぎ橋、その隣に当館があります。この自然にほど近い環境だからこそ、ダイレクトに季節を実感できるんです。私はここに来て約15年経ちますが、毎年紅葉の色付きが異なることに感動をしています。
また料理にも季節性を感じるようにご用意しています。春先はふぐ、秋ごろまではのど黒や鮑など用いた旬の懐石料理を。冬はやっぱりカニをお目当てにされる方も多いため、カニ料理を中心にご提供しています。夏場の定番としては、特製紫蘇ジュースを振る舞うこともありますね。
もう1つは小規模性。他のお宿と比べると客室数が少ないため、客室の設え、機能、嗜好を変更しやすい利点があります。だいたい2年に1度のペースで客室の改装を重ねています。2022年に大浴場を廃止したのは、近年温泉付き客室をよくお選びいただけることをうけて、いっそのこと全室を温泉付き客室にしました。小さい宿だからこそ、需要に合わせて変化を作ることができます。
また自ら食料調達し、調理したものを提供できるのも小規模だからこそ。夫は橋立漁港で加能ガニを競り、会長(6代目)は川で鮎を釣り、私が山で山菜類を採るなどの食料調達では、供給が不安定になることもあります。なかなか大規模なお宿では実現が難しく、小規模ならではの贅沢を提供できていると思います。
季節性と小規模性から生まれる変化を楽しんでいただく。画一化したサービスを超えた贅沢が、ここにあります。
山中温泉ありきの宿
地域発展に貢献した
先代たちの想い
お宿だけが発展することはありえなくて、やっぱり山中温泉ありきです。地域のために、お宿は地域の良さを知るきっかけを提供できるはず。例えばお食事の際に地元の山中漆器を使用すれば、漆器を使う体験ができます。まずは使っていただくことで漆器に関心を持てれば、地元の漆器・商店に行くようにご案内できます。結果、地域全体が潤うことに繋がります。
だから私たちは、積極的に山中温泉のまちをアピールするよう心掛けています。町全体でおもてなしができれば町全体の魅力を実感できる。まわり巡って、お宿にお客様が来る循環を作ることが重要です。
こおろぎ楼の歴史を振り返れば、かつての代表達は山中温泉の発展、観光地化に努めてきました。3代目は自分の弟子を連れて、丸太だったこおろぎ橋から木造の橋に建て替え、こおろぎ橋の安全性向上を実現しました。その結果、対岸の川沿いにいくつもの料亭が立ち並ぶなどして、発展に成功したようです。また3代目は山中温泉の名勝『鶴仙渓』の整備にも尽力したと伺っています。
会長(6代目)においては、地元関係者と協力し『鶴仙渓の川床』設置に尽力してきました。お宿の魅力向上はもちろんのこと、地域の魅力向上に努めてきたかつての代表達の想いを、私たちも大切にしたいと思います。
旅館イメージの転換
もっと休み、挑戦したい
旅館に対するイメージを変えていきたいと思っています。従業員の満足度向上、新規スタッフを確保するためにも、ライフワークバランスが実現できる職場としたいですね。実際にこの数年、週1の定休日(水曜日)を設けていますが、計画的に休暇を取れるようになったことをスタッフから喜ばれています。
今後も積極的に改革を推進したいと思います。たとえば週2日の定休日の導入し、さらなるワークライフバランスの実現を目指したい。また閑散期には10連休を作ることも検討しています。リフレッシュしたり、新しいことを考えたり、長期休暇が取れる職場環境となればいいですね。
また今後スタッフが増えていけば『茶房みやこわすれ』を復活させたい。かつて宿泊客以外にも楽しめるように、ロビーでスイーツを提供していたことがありました。ロケーションを活かした喫茶体験は良かったし、また喫茶利用者が後に宿泊いただけこともありましたので、本当は継続したい取り組みです。
よりライフワークバランスが実現できる職場に、そして新規スタッフが増えていけば既存サービスを高度化できるように、これからもどんどん変化と改革をしていきます。
将来独立したい方は
オーナーシェフ旅館で
経験を積むのもOK
将来的に小規模旅館や、オーナーシェフ旅館として独立したい方は、うちで働くと勉強になると思います。一緒に食材調達に行ったり、調理場に立ったりするだけでも貴重な経験。また小規模だからこそ職務範囲が幅広いため、宿の全体像も把握しやすいです。夢がある方、志が高い方は個人的に応援したいので、ぜひいらしてください。
客室係はお客様に一貫しておもてなしを行います。そのためシフトが少し変則的で、17:30出勤・21:00退勤、翌日になり7:30出勤・12:30退勤、これでワンセットと考えて1日勤務とカウントします。
この変則シフトはスタッフは嫌かな、と悩みました。けれどスタッフに話を聞くと、意外にも肯定的に捉えています。お客様にとっても満足度が上がるし、スタッフからすれば1日を有効活用できるとの意見をいただいたので当面はこのスタイルです。ただし月2~3回は必ず連休を取れるようにシフトを組んでいます。
コロナ前から少しずつ外国人のお客様も増えていますが、語学(英語や中国語)ができるスタッフがいないため、語学ができる方も大歓迎です。前例はありませんが、外国人スタッフの雇用も検討したいと思います。
オーナーシェフの小規模旅館で修業したい方、おもてなしを追求したい方は是非ご応募ください。そして山中温泉の町全体でおもてなしする仲間となってください。お待ちしております。
宿の開業をプランする
移住体験&ツアー
将来宿泊業で独立したい方必見。独立のヒントとなるようお手伝いをします。
企業見学・訪問もコーディネートします(事前予約制)。まずはお問い合わせください。
事務所 | 有限会社 こおろぎ楼 |
所在地 | 石川県加賀市山中温泉こおろぎ町ロ-140 |
募集求人 | 客室スタッフ |
スタッフ数 | 18名 |
推奨資格等 |
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