子どもが主体の学び。
一人ひとりの「やってみたい」を育む。
暗記型から探求型へ。加賀市が進める教育改革とは。
「暗記だけの勉強では、これからの社会に通用しない」。そんな言葉を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。社会の変化とともに、子どもたちに求められる学びも変わってきており、石川県加賀市では、そうした時代の流れを見据えた教育改革が進められています。
2025年度から新たに就任した教育長にインタビューした筆者が、現場の声とともに、加賀市の教育の“今”をお届けします。

「Be the Player」
子どもが自ら学び、行動する教育へ。

この30年ほどで、社会は大きく変化してきました。「良い大学に行き、良い会社に務める=幸せ」というモデルは既に崩れつつあります。さまざまな価値観の多様化に伴い、従来の授業方式で身につく「知識」だけではなく、「自分自身で考え、動き、未来を切り拓く力」が求められています。そのためには、学びの在り方や授業の内容を変える必要があり、それを自治体として、地域全体で実行しているのが、石川県加賀市です。
加賀市が掲げる教育ビジョンのキーワードは、「Be the Player」。大事なのは、言葉の美しさではなく、このキーワードから皆が何を思い浮かべるのか。子ども、先生、地域住民、保護者間で「Be the Player」のイメージが共有され、それが現代社会に求められている「学びの改革」に即しているということに、価値があるのです。こうした教育改革の背景には、現場での話し合いや、新たな挑戦をする情熱的な大人たちの存在があります。先生方はもちろん、学校ごとの課題に寄り添いながら、教育委員会が先生と一緒に伴走する体制が整っており、「地域で教育を変える」という加賀市ならではの強みがあります。
子どもが元気に生き生きと育つのは、元気な先生がいてこそ。先生が「教育」に全力投球できるよう、働きやすい環境づくりにも力を入れています。特効薬のような解決策はなく、細かな改善を積み重ねていくことが重要です。先生自身のライフステージに応じた働き方を支援し、「自分が幸せであること」と、「教育に全力を注ぐこと」を両立できるよう、現場の実状を見て、小さなことから丁寧に取り組んでいます。
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先生たちの研修の様子(教育委員会InstagramよりInstagram )
STEAM教育と地域資源
加賀市ならではの「生きた学び」。
参考記事 ・個性を伸ばすSTEAM教育とは? ・錦城中学校取材記事はこちら。 |
冒頭でも述べたように、「暗記だけの勉強では、これからの社会に通用しない」というのは事実です。そこで加賀市では、課題を発見し、自分の頭で考えて解決に導く能力を培うために、STEAM教育にも力を入れています。
STEAM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)の5つを統合した探究的な学び。これに、加賀ならではの自然や文化、産業といった「生きた教材」を掛け合わせることで、教室を飛び出した学びが実現しています。温泉や食べ物など、地域資源が豊富な加賀市ならではの体験がまちなかに溢れており、子どもたちが多様な経験を積むための土壌が整っています。また、地域全体に「自分たちの暮らしを自分たちで良くしていこう」という意識があり、そうした風土と人々の思いが一体になっている点も、魅力のひとつです。

探求学習では、子どもたちが等身大の目線で課題を見つけます。それは、インターネットに溢れているような壮大なものではなく、「自分ごと」の小さな課題。そのプロセスを通じて育まれるのは、「正解を覚える力」ではなく、「問いを見つけ、試行錯誤する力」です。生成AIが活躍する時代だからこそ、子どもたちが人間らしく感じ、考え、創り出す力を育てていく。加賀市のSTEAM教育は、そんな未来の土台を築いています。
誰ひとり取り残さない
多様な子どもと向き合う学びの現場。
これまでの一斉授業のスタイルでは、学びに参加できない子が生まれてしまいます。そのためにさまざまな取り組みを行っている一方で、不登校として学びに参加できていない子どもも、全国的に増えており、それは加賀市も例外ではありません。ただ学校に登校することを目的とするのではなく、心から学びに参加できるよう、一人ひとりに寄り添った対応が求められています。
不登校の要因が、学校内外のどこにあるのかは子どもによってさまざま。そのため、学校の教育現場だけで解決するのは難しいですが、まち全体での取り組みを行い、課題解決を図っています。子どもの体験や学びの中心が学校であっても、それだけで完結するわけではありません。家庭や地域といった環境も大事な要素です。加賀市には「学校だけでなく、地域も一緒に子どもを育てていこう」という文化が根付いています。学校だけに解決を求めず、家庭や地域、専門機関と連携した支援体制の構築も進んでいます。まさに「誰ひとり取り残さない」教育を、加賀市全体で育てている最中です。

育つのは子どもだけじゃない!
教育がまちを育てる。
現在の教育ビジョンは今年度で一区切りとなるため、これまでの取り組みをさらに広げつつ、「このまちが最も元気になる教育の在り方」を模索していきます。ビジョンの中心にあるのは「子ども主体の教育」。人生というマラソンを走り抜くには、その先も自ら学び続ける意欲を持ち続けることが重要です。今よりもっと多くの子どもが学びの場に参加し、「勉強って楽しかった」と思える経験を子どもたちに届けられるよう、その土台づくりを目指します。

移住を考えている方は、お子さんが転校するにあたって、前の学校との違いを気にされるかもしれませんが、実際の雰囲気に大きな違いはありません。都会の子どもも、加賀市の子どもも、同じように元気で人懐っこく、活発です。自然が豊かな地域ならではの知識や体験、といった学校外の出来事に多少の差はあるかもしれませんが、「知りたい」「やってみたい」という好奇心はどの子どもにも等しくあり、本質的な部分は同じです。
加賀市での暮らしに興味のある方、移住への第一歩として、ぜひ一度ご相談ください。オンラインや現地、メールなどご都合の良い方法でお話しさせていただきます。また、子育て環境だけでなく、お仕事や住まいに関するご相談も受け付けています。そのほか、最大3泊4日まで滞在可能な「お試し住宅」も市内に2棟ご用意しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
お試し住宅
申込方法滞在日程や参加者数などを、お問い合わせフォームにご記入ください
滞在期間 | 最大3泊4日 |
対象者 | 地方移住を検討中の方 |
宿泊費 | 無料 ※滞在中の食費は除く。 |
電話予約 | 0761‐71‐0099 |
公共交通機関 | JR加賀温泉駅、大聖寺駅、小松空港 |