旅館業の地位向上を志す温泉旅館。
若手経営者が「日本一働きたい旅館」をめざして改革中

代表取締役 / 吉本 龍平さん
「山中温泉で一番働きたい旅館になる」と宣言する吉本社長。スタッフの休暇充実も図り、2018年からは4日間連続して休暇を取れる新制度を立ち上げた。異業種や海外からの求職者も積極的に受け入れ、スタッフからの提案に耳を傾け、顧客満足度と従業員満足度の高さを両立させる職場づくりを目指している。

 

花見のような一時を過ごせる旅館

温泉旅館は「日本文化の集合体」です。しつらえの随所に、日本人のアイデンティティを感じ、日本人であることの良さを味わえる工夫が施されています。

当館では、お花見久兵衛という旅館名にちなみ、お客様がエントランスに一歩足を踏み入れると、頭上から桜吹雪を散らし、日本的風情を楽しめる趣向を凝らしています。そしてウェルカムサービスではお団子を振る舞います。そういう遊び心を至る所で大切にしています。

お花見久兵衛には、若いお客様も沢山お越しになります。そこで、たとえばカップルの方には露天風呂を満喫してもらい、お部屋で郷土料理をゆっくり味わう過ごし方をご提案することもあります。また季節問わずお子様連れもいらっしゃいますので、ご家族水入らずの時間をより思い出深く過ごしてもらうために卓球やジェンガなどもご準備しています。

様々な旅館らしさ、日本文化を集積させることで、「楽しい時間を提供する」旅館づくりを目指しています。

 

スタッフには異業種経験者を歓迎

久兵衛では異業種経験者も歓迎しています。例えばIT経験の豊富な人が地方に移住すると、その影響力は大きいはずです。伝統的な産業ほど改善の余地は多いでしょう。僕は「伝統にこだわり過ぎない経営」を心掛けています。最近では初めてドローン撮影に取り組みました。緑溢れる景観の素晴らしさをどうしたら伝えられるかと考え、空から撮影しました。

「新たなチャレンジを試みる移住者」がいれば、その提案を後押しします。お花見久兵衛は、新しいことに真っ先に挑む会社でありたいと考えています。

採用には国籍も問いません。海外インターンシップも積極的に受け入れており、ポーランドと中国の方の就職も決まっています。

 

オリジナル研修として、旅行を奨励

お花見久兵衛の理念は「人の成長、第一主義」です。僕もまだ37歳ですし、社員と一緒に成長する姿勢で働いています。

具体的には、接客力を磨く研修会を開いています。旅館業は、お客様との繋がりあっての商売。コミュニケーション術や心理学を総動員して「もてなし方」について学ぶ場を設けています。

また、スタッフには旅行を奨励しています。一流の魚介類の美味しさ、海外旅行の楽しさ等々、接客される感動を体験してもらいたい。そこで旅行を予定しているスタッフには「年2回‐1回5000円」まで補助を付けています。ささやかながら、ちょっといい旅行を味わってほしいと考えています。

 

休日数増加と休暇内容の充実への取り組み

弊社では今年から、4日間の「連続休暇制度」を取り入れました。旅館スタッフの休日の少なさが問題視される中、弊社の目標は2020年までに年間休日数105日(週休2日)を実現すること。すでに数年前から休日数の増加に取り組み続けてきています。

若手スタッフは連休を求めるため、その要望には応えたい。有給を使って1週間休暇を取り、海外に出かけるスタッフも増えてきているため、働き方も改善されつつあります。

 

目標は、旅館の地位向上

お花見 久兵衛の使命は「旅館の地位向上」です。スタッフが「旅館に勤めている」と言うと、地域住民から「大変だね」とか「大丈夫か?」と心配されることが多々あります。未だに旅館業は働きづらいという昔のイメージが根強いようです。この現状を打破したい。旅館への就職が決まると「それは素晴らしい!」と称賛されるポジションへ上げていきたいと、考えています。

社会的地位を上げるには、お客様からの評価だけでなく、スタッフからの評価も高める必要があります。人が成長する職場づくりと休暇の充実に取り組んでいますが、まだまだ道半ば。今後も社員の声に耳を傾けながら、職場改革に取り組みます。

 

<事業所データ>
有限会社 吉花(お花見 久兵衛)
代表者:代表取締役 吉本 龍平
所在地:〒922-0127 石川県加賀市山中温泉下谷町ニ138-1
連絡先:TEL.0761-78-1301
事業内容:温泉旅館業
URL : https://www.ohanami-kyubei.jp/
採用情報URL: https://www.ohanami-kyubei.jp/company/