精密圧造加工のエキスパート集団
残業ほぼゼロ、仕事と家庭の両立支援行動計画も公表。

元代表取締役社長 佐藤 義広さん(取材時)

現代表取締役社長 宮﨑 満弘さん(2022年6月時点)

 

冷間鍛造による精美なものづくり

弊社は社名にもある通り、ねじ類の製造メーカーです。創業以来、冷間鍛造による精美で高品質な製品を提供しています。冷間鍛造を手掛ける会社を「ヘッダー屋さん」と呼んだりしますが、弊社も「ヘッダー屋」です。

冷間鍛造のメリット、特徴の一つは、切り屑を出さないこと。多少の抜き屑は出ますが、金型で抜くだけなので、切削のような切り屑が発生せず環境に優しいといえます。かつ、精度が出ます。つまり歩留まりがよいため、コストダウンにつながります。さらに、鉄を叩くことにより金属が締まり、ファイバーフローの形成で耐摩耗性が向上、また加工硬化が起こり、切削よりも強度の高いものができます。

 

独自のノウハウ、金型は独自開発

冷間鍛造の中でも、私どもは貫通品(かんつうひん)を得意としています。ウェブサイトの動画でもご紹介していますが、表面には鏡面に近い滑らかさを実現します。偏肉があるとブレるのですが、偏肉がほとんどない精度を出すことができます。それが弊社の強みです。

このノウハウのポイントは、金型です。自社独自で開発しています。金型設計の段階でどういう形状にするかが、企業秘密中の企業秘密と言えます。このノウハウを培ってきました。金型の製造は外注しますが、その際に「こういう風に作っていただきたい」と発注します。

弊社の仕事の流れとしては、製品の図面をいただいて「こういうものができますか?」と打診された業務に対し、提案をさせていただくかたちです。既存製品をそのまま製造し納品するのではなく、いただいた図面からどのように金型設計し、実現させるかにノウハウが問われます。

 

市内や近郊の部品メーカーが主な取引先

今は主に、市内の部品メーカーさんのチェーンの中に組み込まれる部品を作っています。チェーンの駆動部のつなぎです。ピンを差し込み、その周りがブッシュやローラ等で構成されます。オートバイのチェーンのほか、四輪の自動車のガソリンエンジンの部品であるタイミングチェーンも大きい比率を占めています。サプライヤーとして優秀な成績や功績を評価され、お取引先様各社から表彰もいただいています。

自動車部品のほかにも、様々なジャンルの製造品を手掛けています。掃除機の部品や建築資材の部品もあります。近未来的には、太陽光発電の部品も来年の量産品に持っていこうとしています。



 

欲しい人財、工程設計経験者は優遇

弊社は新しい金型設計をしますので、取引先であるお客様から図面をいただいた時に、「こういう工程で、こうする」と考える人(工程設計者)が必要です。現在、社内で工程設計に携わっている方は2名です。
CADが使えることももちろんですが、いくら設計の知識があっても、機械の仕組みが分からないとできません。これが分かる方はすごく貴重です。経験者はぜひ優遇させていただきたい。本当に喉から手が出るほど欲しいんです。「この地方にもこんな仕事があるんだ」と知っていただきたいです。

 

 

求められる経験スキル

図面を読める力、たとえば17±コンマ1と書いてある時に、理解できる力が求められる仕事です。かつその製品を測定することも必要なので、測定器具の使い方を知っているほうが望ましいです。一般的に、例えば工業高校出身の方は、ノギスの見方、図り方、図面の見方等を機械科などで学習なさっています。その経験があると、入社後の教育期間が違ってきますね。

ただし、今いる社員も工業高校出身者に限りません。転職組の経歴を見ても、入社前から冷間鍛造に携わっていた人は、10名のうち2名ぐらい。あとの方は自動車やオートバイの整備、いろんな工場を回ったり、工場の修繕を担当していた方など。そういう方はいろんな機械の仕組みが分からないと直せない業務をされていたということです。車の整備も、複雑な機構が頭に入っていて触る仕事。弊社の業務もそうしたスキルを活かしやすい仕事です。

 

 

この仕事の面白さ、魅力

この仕事は、自分の手で、機械を使って仕上げる仕事です。何段階かの工程を経てやっと製品になる。この過程に面白さが感じられるのではないでしょうか。工夫をし、工程を減らすのか、あるいはむしろ増やすのか、もっと効率的にできないか。車関係の製造業は、コストや納期がものすごく厳しいです。そこに携わる方は、いかに良い製品をいかに早く作るか。それを任されるときにどうやるか。その微調整は、やはりロボットやプログラミングではできません。そこが楽しみでもあります。

量産品なので、1分間に約60個~多いものでは200個、月に何十万何百万個の同じものを作ります。いかにトラブルを無くすか。いかに金型費用を削減するか等、考えることが尽きません。いろんな方向に対して、モチベーションの持っていき方が多岐にわたると思います。

 

職場環境、残業ゼロ

残業は、ほぼゼロを実現しています。夜間も自動で製品を作れるよう、無人タイマーを導入しています。定時の17時でみんな一斉に帰り、朝出社すると製品ができています。青いパトライトが点いていれば稼働、赤で停止していれば何らかのトラブル。人がいない間に金型が破損したり材料がなくなると、止まってしまいます。

止めないためにどう段取りするかが大事なわけですが、うちは、止まっても多少は大丈夫。納期に余裕を持たせた加工を行っているからです。機械のメンテナンスも考慮し、納期に応えるように生産計画を立てます。もっと言うと、取引先からいただく3か月予測を見させていただき、先読みして生産を行います。止まった途端に納期遅れが発生するなどということがないようにしています。

「脱・残業」の世の中の流れの中で、いかに納期を送らせずにかつ残業ゼロにするかにチャレンジしてきました。

 

仕事と家庭の両立支援、ワークライフバランス

「仕事と介護の両立支援」にも取り組んでいます。有給消化も1時間単位で取得できるようにしました。年間休日数では大手にはかなわないので、太刀打ちする工夫の一環として何か差別化できることはないかと工夫してきました。弊社独自のカレンダーに基づき月の平均出社日数を割り出し、給与を年間フラットに、お盆・正月・GW等による月額の格差をなくすようにしています。

取引先と合わせるために、どうしても祝日出勤日が年間に数日は残っていますね。

現在、社員10名。男女比率は7:3。女性の担当は製品の検査。細かいチェックはやはり女性が得意ですね。その他、資格支援も行っており、必要であれば会社負担もあります。 企業理念の「精美、精励、誠意」を掲げ、ものづくりを行っています。

 

<事業所データ>
有限会社 佐藤鋲螺
代表者:代表取締役社長 佐藤義広
所在地:〒922-0001 石川県加賀市大聖寺上木町堤ノ表1番地の6
連絡先:TEL.0761-73-1663
創 業:昭和48 (1973)年 7月
設 立:平成6 (1994)年 6月
事業内容:自動車用・電気・電子・住宅等の金属精密部品の冷間鍛造加工
URL : http://www.sato-byora.co.jp/
採用情報URL : http://www.sato-byora.co.jp/recruit/