コラム 高校魅力化スタッフ談義
選択する力と
選択肢を作る力を
育むには?
石川県加賀市で2021年から始まった『高校魅力化プロジェクト』。最前線の現場でご活躍する移住者の3人にグループインタビューしました。
インタビュー最中に盛り上がったトピックが「選択する力」。その会話の一場面をインタビュー形式にてご紹介します。本記事は『探究学習で地域から創造人材を!移住者が高校魅力化を推進して「まちとひと」の関係をつくる。』のコラム記事と位置付けていますので、ぜひ本記事もご覧ください。
(2022年2月 グループインタビュー)
選択する力を、
どのように養うか
〈迫 / インタビュアー〉
みなさんの活動は中高生に対して、将来の選択肢を広げるお仕事ですね。
〈山口さん〉
僕は大人になるほど選択肢が増えると思います。中高生は基本毎日学校へ通う必要があり、学校ではなんとなく部活に入ることを勧められたりするため、学校は選択肢が少ないと感じています。
〈迫 / インタビュアー〉
たしかに自分で選んでいるよりは、与えられている選択肢から選びますね。
〈山口さん〉
高校生の見ている世界は狭くなりがちで、その世界から選ぶことが多いですよね。例えば大学進学を考える時は、たいてい自分の偏差値帯から妥当な学校をいくつかピックアップして、そこから消極法で選んだりしがちじゃないですか。
でも大人になれば自己決定で好きなことができるようになります。移住してもいいし、地元で就職してもいいし、起業したっていい。だから大人は可能性が広い。中高生は今の段階から「自分で選択する力」を育むことが重要です。
〈重吉さん〉
山口さんの意見に同感だけど、大人になると選択肢が狭まると考える方もいますよね。例えば社内での立場があったり、家族を持ったりしてどんどん外堀が埋まっていくように(笑)
ある意味でしがらみが少ない高校生には、実は無限の可能性があるよね。だからこそ高校生の時から「自分で選択する力」を発揮してほしいと思います。
〈迫 / インタビュアー〉
子どもでも、大人でも、選択することはいつでもできますね。そこには失敗の許容度を上げることも大事になりそうですね。
〈重吉さん〉
失敗を怖がるのは仕方ないため、中高生に対して「怖くないよ!」と話すだけでは難しいと感じています。
〈迫 / インタビュアー〉
その点、勝尾さんはどう思いますか?
〈勝尾さん〉
中高生と関わる上では、その子のフェーズによって関わり方を変える必要があると思います。一歩踏み出すことに自信がない子には一緒に、自信がある子は見守る、相手の言動の背景を重んじながらサポートができればと思います。
〈迫 / インタビュアー〉
個々人がどんなフェーズであるかを見極めるのは大変そう。だからこそ異なるバックグラウンドを持つお三方がいるため、複眼的視点で中高生を見守れるのは頼もしいですね。
〈勝尾さん〉
自信はある程度後からついてくるため、まずは行動を重ねることが大切です。小さな成功体験をどれだけ積むか、その機会を作るのが私たちの役目です。
選択肢を創造する力を
育むサードプレイス
〈迫 / インタビュアー〉
中高生向けフリースペース『ここらぼ』が2022年1月にオープンしましたね!
どんな人に利用してほしいですか?
〈勝尾さん〉
失敗を怖くて行動できない、そのような子の居場所となればと個人的には思います。ここに来れば選択肢が広がる、自己理解が深まる場ですね。
〈迫 / インタビュアー〉
家、学校以外のサードプレイスとして機能しそうですね!
山口さんはどんな場所にしたいですか?
〈山口さん〉
イメージは秘密基地ですね。ワクワクするし、でも安心する場。誰からか与えられるよりは、自分で場に価値を見いだすような感じですね。好奇心が刺激される拠点にしたいです。
〈重吉さん〉
僕は秘密基地を子どもの頃に持っていました。友達と遊んだり、時にはイタズラをしたりと、好奇心から何かが生まれる場でした。そのイメージから、僕はここから新しいことや面白いことが生まれる場になって欲しいです。
〈迫 / インタビュアー〉
自らが選択肢を創り出す力を育める、そんな拠点となりそうですね。
〈重吉さん〉
先ほどまでは「自分で選択する力」の重要性について話しましたが、自ら「選択肢を創り出す力」も大切ですね。DIY精神のような、ストリート文化に似たようなイメージかな。
〈迫 / インタビュアー〉
まずは視野を広げて選択肢を増やし、自分で選ぶ力を育てる。その先は自らが選択肢を創造する力を育む。自分と未来を創造できるような創造人材が育成される場だと認識しました。
今回はお三方に高校魅力化プロジェクトの意義、そして推進する想いについてグループインタビュー形式でお伺いしました。3人のこれからの活躍が楽しみです。この度はお話いただきありがとうございました!