変革と挑戦の両輪で
町工場の技術を
次世代に運ぶ

赤い服の男性

株式会社 新家製作所あらいえせいさくしょ
山下 公彦 Yamashita kimihiko

工業団地に2つの工場を構える株式会社新家製作所。経営者不在の問題に窮していたところ、公的支援をうまく活用して事業承継に成功しました。大手総合重工業メーカーに勤めた経歴を持つ山下さんは、現在新たなビジョンに向けて経営革新中です。

新家製作所の強み、新ビジョンへの想い、また町工場の挑戦と改革について取材しました。ものづくりに関わりたいデザイナー・マーケタ―、営業経験がある方は必見です。

(2021年11月インタビュー)

新家製作所の工場外観

 

 

技を磨く町工場
産業用チェーンを一貫生産

当社の前身である新家螺子らし製作所は1956年に創業。螺子製造業で金属部品加工の技術を培ったのち、1966年に株式会社新家製作所を設立。私が継業した2020年7月以降には人を増やし、現在は17名のスタッフが金属加工を中心とした部品製造をしています。

我々が製造する部品のなかで、代表的なものが産業用チェーン。一般に想像するようなチェーンよりもサイズが大きく、例えばプラントの排水や、水力発電所で溜まったゴミを掻き出す際に使われる産業用機械を駆動させる部品です。

この産業用チェーンは単純そうで、実は奥深いもの。多種多様の細かい部品を組み合わすことで1つのチェーンが完成するため、基本技術から特殊技術まで幅広い技術と技能が求められます。当社は金属の機械加工を中心に、接合や塗装加工等もできる一貫生産体制があるためチェーン製造に適します。

産業用チェーンを構成する部品
産業用チェーンを構成する部品
産業用チェーンの部品が並ぶ
産業用チェーンの部品塗装も手掛ける

 

生産は1点ものの小ロットから、多いもので4,000ほどの中ロット生産など柔軟に対応できます。また基礎・特殊技術を駆使したものづくりが得意なため、低コストながら高品質のものが作れるのが強み。これまでは請負加工が中心でしたが、今後はより強いものづくり会社へと成長を遂げたいです。

 

 

会社も、課題も継業
変革の触媒人

前職の重工業メーカーを早期退職して2020年7月に継業しましたが、その時すでに2つの問題に直面していました。1つは事業引継・技能伝承の問題です。典型的な人依存型の組織で、当時の社長が病気で死去したことから問題が表面化しました。

もう1つは新規事業の創出です。就任1年目で中小企業の厳しさを痛感しましたね。我々みたいな町工場がいかにして付加価値を高めていくか、そして今のような新型コロナウイルスなどの外部要因の影響を踏まえると、既存事業の延長での存続は難しいと実感しました。

赤い服の男性
「町工場は変革しないと厳しい」と語る山下さん

 

もはやB to B 向けのビジネスだけでは限界があり、より強いものづくり会社になる必要があります。そこで新たなビジョンとして【町工場のバルミューダ】を掲げ、変革を起こしたいんです。まずは町工場からメーカーへの脱皮を図り、ゆくゆくは産業を超えた連携を促進できる会社にしたいと考えています。

これまで積み上げた町工場の技術力と、私が前職で培った経験とネットワークを活かし、企業・産業間をコーディネートする機能を強化する。これが私ができる地方活性化の方法だと考えています。

※『バルミューダ』とは…
2003年に東京で設立した家電ベンチャー(現バルミューダ株式会社)。これまで数多くの機能性とデザイン性に優れた生活家電を開発・販売してきた人気メーカーの1つ。

山下さんの継業ストーリー

僅か9ヶ月で達成した継業ストーリーは、「早期退職のその後は?50代からのセカンドキャリアは「第三者事業継承」で、中小企業の救世主となれ。」でご紹介しています。第三者の事業承継に至るまでの経緯を詳しく知りたい方は是非ご覧ください。

 

 

町工場のバルミューダへ
第一弾はコーヒーミル

我々のような中小企業のもつ技術や価値を認めていただくには、B to Cで直接評価いただくこと、また高付加価値のものづくりをすることが不可欠です。【町工場のバルミューダ】の意味するところは、金属加工技術を活かしたメーカーへの脱皮。新たな商品開発を自社で手掛けることへの挑戦なんです。

その第一弾として取り組んでいるのが「コーヒーミル」。ISICO(石川県産業創出支援機構)が主催の新商品企画事業『Session石川』に参加し、クリエイティブ・ディレクターの金谷氏による指導の下で分析やリサーチを重ねた結果、生まれたアイデアがコーヒーミルでした。試作品を3DCADで作ってみたところ、実に画期的な商品になることが分かりました。

コーヒーミル
開発中コーヒーミルの3Dモデルイラスト

 

我々のコーヒーミルが画期的なところは、粒度のばらつきを抑えることができる点です。コーヒーの味が不安定になる要因の1つに、挽いたコーヒー豆の粒度のばらつきが挙げられます。おいしいコーヒーを追究すればするほど、粒度のばらつきが大きな壁となっていました。

我々の金属加工技術を駆使して製造するコーヒーミルは、ハイクオリティなコーヒーを追究する方々の課題を解決する可能性を秘めています。ちなみに、このアイデアを金沢大学名誉教授/コーヒー博士・発明家の廣瀬先生にお話したところ、「着眼点はいいよ。」と仰っていただきました。現在商品化を実現させるべく、準備を進めています。

コーヒーミルを皮切りに、すでに他社と協業するアイデアはあります。小規模な力や技術を集め、それを商品に昇華させるコーディネーターとしての役割を果たせるか、今後の展開が非常に楽しみです。

 

 

経営革新と投資が
好循環を生む

ビジョンと現状の課題のギャップを埋めるために、4つのステップに分けた経営改革方針を立てました。現在は3ステップ目の段階ですが、初期段階では自動販売機を設置するなど快適な職場環境づくりから始まっています。

眠っていた暗黙知を活かすために、業務マニュアル化を図り、工程データベースの蓄積を行いました。品質管理・生産管理システム化も進み、技能継承がしやすい環境になったため、これまで1人5役をこなすスーパーマンのようだった社員の負担を軽くすることができます。

経営革新の傍ら、投資活動も並行して取り組みましたね。とくに人財への投資は再重要項目で、民間の求人サイトを活用しては、30~40人ほどの応募者を片っ端から面接。やっぱり人財がないことに会社は成り立ちませんので、多いかなと思うぐらい思い切って採用しました。

また経営資源の最適化、そして設備投資も徐々に実施していきました。せっかく大きい工場があるのに、そのスケールを上手に活かしていなかった。工場内のレイアウトを再構成し、空いたスペースに新しい設備を配置するなどして、経営資源の最適化を図りました。

人財・設備投資をした結果、どんどん仕事が増えていく良い循環が生まれてくれましたね。

工場内に男性3人

 

 

町工場の挑戦を
駆動させる仲間募集

中小企業なりの良さがあって、例えばビジョン共有がしやすかったり、一人ひとりの裁量が大きかったり、またスピード感があるのが強みです。よくある喩えで「八百屋の親父はなぜ元気なのか」というものがありますが、規模が小さいからこそ存在意義を感じやすいですし、そのような社会貢献の在り方は理想ですよね。

求める人物像は主体的な人。ものづくりへの興味・関心が強い方は向いていると思います。今まさに町工場からメーカーへの脱皮を遂げている会社なので、言われた仕事だけをこなしたい人には合わないかもしれません。

また今後の展開を考えると、営業やマーケティング、デザイナーなどの機能を自社で持つことも視野に入れています。現段階でそのような職種を募集していませんが、ご関心ある方は一度お話を出来ればと思います。是非いろんなアイデアをお聞かせ下さい。

色んなバックグラウンドやスキル、強みを生かしてシナジーをもたらしてくれる方、町工場の新たな挑戦に参画したい方からのご応募をお待ちしています。

赤い服を着た男性

 

 

 

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事務所 株式会社 新家製作所
所在地 石川県加賀市宇谷町ヤ-28
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スタッフ数 17名
推奨資格等
  • PCスキル
  • CAD
  • 普通自動車免許

『新家製作所』WEBサイト