「一坪の庭」から「ゴルフ場」まで、トータルにサポート
会長 岸 省三さん
家庭向けの造園から、各種スポーツ施設の設計・施工、管理及びゴルフ場造成、コース管理までトータルにサポートしています。低価格でできる緑化「芝生」を中心に、若者でも身近に楽しめる庭造りを行っています。(インタビュー/2016年8月5日)
若者が気軽に楽しめる庭を
かつて造園は、権力の象徴そのものでした。立派な松の木や石を置き、池に鯉を浮かべた広い庭が主流で、大学生時代の私は、そんな庭の常識に疑念を持ち始めていました。
経済力のない若者も「気軽に楽しめる庭」を作れないだろうか。これからの時代、若い家族が子どもを庭で遊ばせ、草花を植えるような素朴な生活の楽しみ方が増えていくのではないか。
そんな思いが強くなり、大学を辞め、昭和47年に「岸グリーンサービス」を立ち上げました。若い人が親しみやすいようにと、造園や土木といった固い表現を使わない社名にしました。
一から手探りで学び、家族の庭から大型緑地工事も
未知の分野への挑戦でしたが「若者も楽しめる庭を作れば、絶対に喜んでもらえるはずだ」と確信していました。
造園屋で働いたこともなったため、「どんな庭が好きですか?」「あなたの家に庭はありますか?」などの質問を往復はがきに書いて大量に送り、市場調査のようなこともしました。一方、お手頃価格で緑化できる芝生についても、一から勉強しました。
初めて作った庭は金沢市のお宅の庭です。十数年お世話に通いました。そうして家庭向けの造園工事から始まり、芝生を利用したゴルフ場造成、公園・緑地など大型工事にも進出しました。
独自の研究で、冷地向け芝生の栽培に成功
芝生には、暖地型と寒地型があり、大雑把に分けても数十種類はあります。芝生苗の多くは南日本で作られるため、北の地方に持ってきて育てると成長が悪くなるという問題がありました。
そこで、北日本の気候に合わせた芝生を作りたいと独自研究を重ね、日本最北となる北陸産の芝生栽培に成功しました。現在は東北地方など各地で利用されています。
また、一年中緑の状態を保てるように、暖地型と寒地型の芝生を混ぜて植え付けを行うなど、よりよい緑地を作るために、様々な技巧を凝らしています。
自然は人を幸せにする。そんな自然と向き合う仕事
農業等も含めて「自然の植物に関わる仕事」が、人間にとって一番いい仕事だと私は考えています。植物が少しずつ成長していく姿を毎日見ていると、不思議と、生きる力が湧いてきます。
もちろん、植物相手の仕事は天候の影響も受けやすく、いつも順調とは限りません。しかし苦労がある分、お客の喜ぶ姿を見て、最高の稼業と感じます。自然には人を幸せにする力があります。
そんな緑の豊かな環境を未来に残すため、省エネルギー、資源再利用、有害廃棄物の削減等にも精力的に取り組んでいます。
仕事の魅力と収益性で、後継者を育てたい
私自身、造園の仕事が好きで、本当に楽しいと感じています。グループ事業の果物狩り体験施設「加賀フルーツランド」をオープンしたのも、私自身が果物を好きなことが理由の一つ。
加賀市は、梨やぶどうなど果樹栽培が盛んですが、後継者不足が深刻な問題でした。子どもたちが仕事を継ぎたいと思うような、そして親も子どもに継がせたいと思えるような、そんな果樹栽培の魅力と収益性を作れないかという思いで、加賀フルーツランドを開きました。果物狩りの体験はもちろん、果物の加工品販売も行い、今では多くの観光客が訪れる施設になりました。
「仕事が楽しい」と感じられる中で働いてほしい
もちろん、自分に合う仕事が初めから分かっている人は少ないでしょう。当社で長く働いているスタッフの中にも、はじめは興味本位で働いてみたけれど、働くうちに段々仕事の楽しさが分かってきたという方も多くいます。県外から新卒で、農業や植物に興味がある方や、屋外の仕事が好きという方が来てくれることもあります。中途採用も積極的に受け入れていて、中には別の会社を定年退職後に、当社で働きたいと来た方もいます。
当社は、離職率がとても低いです。従業員には仕事が楽しいと感じながら働いてもらいたい。仕事に一生懸命になれる職場環境について、日々考え、実践しています。
事業データ
企業名:株式会社 岸グリーンサービス
代表:代表取締役 岸 省吾
所在地:石川県加賀市新保町カ33番地
連絡先:TEL 0761-74-8188/FAX 0761-74-6366
業務内容:総合緑化事業、ゴルフ場造成工事、芝生管理業務
従業員数:94名
グループ企業:(有)三共農園(かがフルーツランド)、(有)芝政グリーン、(株)キシ、加越技建工業(株)、トナミグリーン(株)
WEB:http://kishigreen.co.jp