伝統工芸で、産地と全国を繋ぐ漆器製造メーカー。
現代生活に寄り添うテーブルウェアを商品開発

代表取締役 社長 宮本 峰幸
多くの漆器職人が暮らす山中温泉で、漆器製造メーカーを営む宮本産業は、産地の職人や工場と連携しながら、ものづくりに携わってきました。その経験知とネットワークが評価され、日本各地に店舗を構える大手百貨店などのバイヤーが商談に訪れています。時代のニーズを察知する企画営業力の秘密を取材してきました。

漆器の伝統を育んだ産地

石川県加賀市の山間部に位置する山中温泉は、業界随一の売上を誇る漆器産地です。木材をくり抜き、漆を塗り重ねることで、艶めきと堅牢さを備えた漆器は、生活雑器から茶道具まで、幅広く商品展開されてきました。

しかし、木製ゆえの弱点も抱えています。使い込むうちに、ひび割れや変形などが生じます。電子レンジも使えません。こうした欠点を補うため、耐熱性に優れたPET樹脂などを材料に採用した合成漆器を、宮本産業では商品開発しています。

宮本産業は木製漆器と合成漆器の両方を扱い、かつ、日本全国に出荷している数少ない企業です。現在、企画営業職を募集しています。

 

日常に溶け込む漆器づくり

現代人の暮らしに寄り添った漆器を提供するため、宮本産業では電子レンジや食洗器対応の漆器を多数卸しています。これらは社内の売上の大部分を占めるほどの人気商品です。

特に売れ筋なのが、持ち手のついた漆器シリーズ。コップ類を始めとし、汁椀やスープカップやどんぶりにも取っ手を付けた商品開発をしたところ、ヒットしました。

持ちやすさを重視したデザインは、お年寄りやお子さんのいるご家庭で好評です。

こうしたプロダクトデザインは宮本産業で行い、製造は近隣の漆器工場にお願いしています。器は金型で形を作り、エアスプレーで色を塗るため、形状や色彩の自由度が高いのが特徴です。

山中漆器の金型はとても多く、バラエティ豊かな製品づくりが可能です。漆器といえば赤色や黒色をイメージされやすいのですが、近年は若い女性向けにパステルカラーの漆器も開発しています。こうして作られた製品は、日本全国の百貨店と雑貨店で販売されています。

 

時代に寄り添う企画力

現代はインターネットで物を買える時代です。いつでも、どこでもショッピングを楽しめるネット社会では、店頭でしか買えないオリジナル商品が、店舗にお客を呼び寄せます。だからこそ、私たちは、各々の百貨店や雑貨店のテイストに合った漆器を提案しています。

店舗には多種多様な品物が並んでいます。その中からヒット商品を生み出すには、市場を読む力が欠かせません。たとえばランチボックスをお買い求めになるのは、ほとんどが女性です。若者から年配までを含めて、どの地域で、何が、いくらで売れているのか、それを熟知しているバイヤーに聴くのが一番です。

そのため百貨店や雑貨店のバイヤーとのコミュニケーションは、商品開発において要となります。打ち合わせの際は、バイヤーの声に耳を傾けながら、商品企画を立案していきます。

また社内ショールームでは、どの棚に、何を、どんな順番で陳列するかまで検討しています。

 

伝統工芸を、日常モデルにアレンジ。

若いスタッフが手掛けた升の売れ筋が好調です。ポップカラーな古典紋様とツバメをあしらったデザインが特徴のこちらの商品は、小鉢のような感覚で小料理を盛り付ける使い方をお勧めしています。

こういった商品は、一朝一夕には閃きません。経験を積み重ね、センスを磨いていく必要があります。営業未経験者であれば1~2年ほどで仕事ができるようになります。仕入れ、配送、ラベル張り、荷造りといった仕事も経験しながら、産地から全国へと漆器を届ける商品開発に携わってみませんか。

 

<事業所データ>
宮本産業 株式会社
代表者:代表取締役 社長 宮本 峰幸
所在地:〒922-0101 石川県加賀市山中温泉二天町ホ40番地1
連絡先:TEL.0761-78-1818 FAX.0761-76-1818
事業内容:漆器卸売業
社員数:24名(2019年2月時点)