STEAM教育×探究学習
加賀市立錦城中学校が実現する
“委ねる学び”
※こちらの記事は、2025年6月の取材内容に基づいて作成しています。
学年間の壁を超えた、ひらかれた学校。
石川県加賀市の中心部、大聖寺にある錦城中学校。1学年約30名×3クラス、全校生徒は308名。教員数は22名と、適度な規模感のある中学校です。この学校の魅力は、何といっても「人と人との距離の近さ」です。学年の壁を感じさせない生徒同士の関係性、気軽に声をかけられる先生との距離、学年を超えて協力し合う先生方の姿。そんなオープンな雰囲気を支えているのが、特徴的な校舎のつくりです。
校舎内には「学びルーム」や広いオープンスペースがあり、生徒たちは授業や自習を自由に行える環境が整えられています。この空間があることで、生徒たちは自然と「誰と・どこで・どのように学ぶか」を考えるようになり、自分らしい学びを見つけていきます。環境が子どもに与える影響の大きさを、日々の教育の中で実感させてくれる学校です。


【コラム】
空間そのものが学びをつくる──建築に込められた願い。
錦城中学校の校舎は、世界的建築家・安藤忠雄氏による設計です。緑豊かな郊外に建てられたこの建物は、天井高さ6.85mの楕円形の校舎棟と、それに角度をつけて接続された地域開放棟から構成されており、中央には大きな二層吹き抜けの空間があります。
この吹き抜けには3本のブリッジと階段が立体的に配置され、上部のトップライトから自然光が差し込む設計に。まるで学校全体が一つにつながっているような空間づくりは、学年間の垣根を越えた交流を自然に促し、生徒の感性や対話を育みます。
安藤氏はこの空間を「もうひとつの教室」と位置づけ、制度や型にはまらない自由な学びの場となることを願ったといいます。校舎の内外には地元産の杉の間伐材が使用され、素材一つひとつの“不揃い”さが、子どもたちの多様な個性と重なるように設計されています。
「建築そのものが、生徒の学びを支え、育てていく」。そんな想いが息づく校舎です。
参考文献:安藤忠雄「安藤忠雄の建築3」TOTO出版(2008)

「委ねる学び」が、生徒のやる気を引き出す。
錦城中学校の授業では、先生から一方的に教わるだけではなく、生徒自らが考え、発信する機会が多く設けられています。たとえば国語の授業では、登場人物の関係性や変化を図にまとめたり、読み取った内容をスライドやワークシートで表現したりと、思考を「見える化」する工夫がされています。音楽の授業では、教室だけでなく学びルームを使い、自分のペースで練習することができるなど、個別最適な学びの実現が進んでいます。
そんな、生徒たちがのびのびと学べる授業づくりには、先生の事前準備にヒントがあります。先生は授業の設計段階から「どんな学びができるか」を丁寧に考え、最終的なゴールまでの時間配分や活動内容を柔軟に組み立てています。この「自由に学べるための枠組み」があるからこそ、生徒たちは安心して学びに挑戦できるのです。
さらに、自分で学び方を決める「自由進度学習」や、テストの目標を自分で設定し振り返る活動なども導入されています。自分のペースで成長を実感しながら学べる環境は、多様な子どもたちにとって大きな魅力です。
STEAM教育─地域とつながる学び。
参考記事:個性を伸ばすSTEAM教育とは?子どもが主役の小学校・中学校を目指す石川県加賀市。 | 加賀でかがやく) |
加賀市が力を入れているのが、**STEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学)**です。昨年度、錦城中学校は「自分の身の回りを良くしよう」をテーマに、生徒たちが日常の中から課題を見つけて取り組みました。
「暗い通学路を明るくしたい」「空き地を遊び場に変えたい」──そんなアイデアから、センサーを活用した照明モデルを制作したり、遊具の設計図を作成したりと、創造的な活動が展開されました。自分のアイデアを実現するにはお金や大人の協力が必要だと知ることも、リアルな学びのひとつです。
CanvaやGoogleスライドなどのICTツールも積極的に活用し、最終的には文化祭で成果を発表しました。こうした探究型の学習が、子どもたちの思考力・表現力・社会性を自然に育てています。
2025年度はテーマを「防災・減災」に絞り、2・3年生合同での取り組みもスタート。年度をまたいでテーマを深掘りする長期的な学びにもチャレンジしています。先生方は外部の研修会にも積極的に参加し、地域のサポーターと連携しながら、生徒の挑戦を全力で支えています。
「まずはやってみる」から始まる毎日。
教育改革が進むなかで、もっとも大きなハードルは「はじめの一歩」。生徒にとっても、先生にとっても、未知のことに挑戦するのは勇気がいります。そんな中でも、地域の方と対話する「トークフォークダンス」というイベントでは、最初は不安そうだった生徒も、終了後には「面白かった」「また話したい」と笑顔に。新しい体験に飛び込んでみることで、思いがけない自信や発見が生まれています。
錦城中学校では、「計画→実行→振り返り」のサイクルを大切にしながら、学校・先生・地域が一体となって教育を育んでいます。だからこそ、どんな子にも「ここなら安心して挑戦できる」と思える土壌があるのです。
加賀市で、子どもの未来を育てる。
錦城中学校は、単に知識を教える場所ではありません。生徒一人ひとりが「どう学ぶか」「何を表現したいか」を考え、社会や地域とつながりながら成長できる環境が整っています。
移住を検討している保護者の方にとって、子どもが自分らしく学べる場所があるかどうかは重要なポイント。環境が子供たちに与える影響は大きい。だからこそ、空間をフルに利用して学び方を変えていく「この学校」で学ぶことの意味があるのです。
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お試し住宅
申込方法滞在日程や参加者数などを、お問い合わせフォームにご記入ください
滞在期間 | 最大3泊4日 |
対象者 | 地方移住を検討中の方 |
宿泊費 | 無料 ※滞在中の食費は除く。 |
電話予約 | 0761‐71‐0099 |
公共交通機関 | JR加賀温泉駅、大聖寺駅、小松空港 |