町全体を庭のように
巡り、遊び、学ぶ
たちばなこども園
たちばなこども園のある石川県加賀市大聖寺地区は、町の周りを、ぐるりと囲むようにして自然に包まれています。学校や病院、スーパーやドラッグストアのある暮らしやすい環境が整っていながら、すぐそばに山や川、田んぼといった子どもたちの好奇心をくすぐる自然にも恵まれています。
子どもが自ら考え、動く。それを支えるためにも、たちばなこども園では野外活動をメインとした保育を行っています。
園舎の目の前には「古九谷の杜 親水公園」が広がっています。芝生や木々、花やどんぐり、遊水池や水鳥などの豊かな環境で、毎日のように遊べる自然に恵まれています。そこでは春夏秋冬や雨など日によって異なる景色が、子どもたちを感動させます。
たちばなこども園では、このような環境を活かし、どのような幼児教育に取り組んでいるのでしょうか。園長先生への取材をもとにご紹介させていただきます。
取材を通じて見えてきたのは、町全体を庭のように巡り、遊び、学ぶ、子どもの様子です。さらに食育や親子参加型の行事を通じて、保護者との信頼関係を築く、先生たちの工夫も随所に伺えました。
※この記事は、2023年6月の取材をもとに作成しています。
自然のなかに潜む不思議と出会う野外保育
大聖寺地区は、歴史ある城下町を自然が囲むように佇んでいます。散歩ルートも豊富にあり、子どもたちはたくさん歩きます。たとえば大聖寺藩主ゆかりの江沼神社(えぬまじんじゃ)、大聖寺城の遺構が残る錦城山(きんじょうざん)、その裏に広がる田園など、時には目的地まで片道30分ほど歩くこともあります。子どもたちは目的地で遊ぶために、一生懸命進みます。
このように頻繁に歩くことが体力づくりにつながります。自然から沢山のことを学びます。毎日が発見の連続です。季節ごとに咲く花、飛ぶ虫が変わります。ドングリの種類も豊富です。ドングリ拾いをしながら指先の発達を促します。そんな成長も、緑に包まれながら感じられます。
自然のなかには感動があり、不思議があります。春の匂い、夏の匂いを体で感じ取り、雨の日もカッパを作って散歩します。散歩でカエルを見つけ、カエルが保護色に変わることを発見、「わっ、どうして?」と思うことを経験し、「あぁ、そうか」と子どもが納得することを、園では大事にしています。このように自然のなかに潜む不思議なこととの出会いを積み重ねて、自ら考える力が育まれていく、という考え方に基づいた保育を心掛けています。
子どもの「なぜ?」を育む
自然への興味を育むうえで、大きな役割を果たしているのが太陽光発電です。たちばなこども園の屋根にはソーラーパネルが設置されています。これを活かした幼児教育も、5歳児から行っています。
「お日様からどうやって電気が作られるのか?」を学んだうえで、日々の発電量を子どもたちが記録を付けています。発電量は天候によって異なるため「今日はなぜ多いのか?昨日はなぜ少なかったのか?」といろんなことを発見できます。不思議を見つけることを一番大事にしています。
数字も習っていない子どもたちですが、7キロワットアワー発電されたことが表示されると、お日様のマークを7つ並べて記録します。「〇月〇日」「くもり」や「はれ」と子どもたちが書くことで、天候と発電の関係を学んでいきます。このように毎日記録するという習慣を通じて、文字・数・天気への関心も高める工夫をしています。
園内2階にはテラスもあり、お腹いっぱいになった給食後などには、風を感じながら、お気に入りの絵本を読んでいる子もいます。
わっ、とした喜びを蓄積する食育
「食べることは命を繋ぐこと」という最も基本的な考え方を根本に、食育も行っています。
たとえば野菜栽培も、食育の一環で取り組んでいます。日光を浴びながら、すくすくと生長する野菜は、ソーラーパネルと同じように太陽光からエネルギーを生み出しています。植物が日々育っていく様子を、子どもたちがまじまじと観察できる環境を園で設けています。
トマトやジャガイモ、キュウリやゴーヤなど、クラスごとに子どもたちと相談して、何を植えるかを決めています。去年は2歳児がスイカを育て、おやつに味わいました。
育てて、獲って、食べること通じて、わっとするような喜びが蓄積されていきます。このような一連の感動を、なんらかの形で表現することもあります。沢山実るスナップエンドウや絹さやは、その収穫量をシールで記録します。子どもたちがスジ取りして、茹でて食べた後は、匂いや手触りから感じたことを、絵に描き、表現力を養います。
さらに食育と紐づけた活動にも取り組んでいます。毎月19日を食育の日として、野菜の旬や栄養価などを学ぶ会を設けています。たとえば子どもたちに、花の写真を見せて、何の野菜かを答えてもらうクイズを出します。
花が咲くまえに収穫する野菜といえば、加賀市の特産品であるブロッコリーが挙げられます。園の先生が驚かされたのは、子どもが花を見ただけで、元気よく「ブロッコリー!!」と答え、見事正解したときです。
その旬は、花のつぼみがギュッとつまる春と秋で、これから咲くために栄養も高まっています。こうしたことをクイズやシアターを通じて学んでもらいます。実は、これらの工夫は給食の先生が考え、企画しています。
虫歯予防がテーマの時は、大人もへこたれるほど、嚙み応えのある行事食を紹介し、給食の献立も噛む回数が増えるような食材を用いています。その日の給食を玄関前に出し、保護者にも見てもらい、レシピが書かれた紙も置いておきます。なかには、ご家庭で作る親御さんもいます。
食育を通じて、子どもたちに感動体験を提供することで、お母さんお父さんに自ら話したいと思えるような自発性が芽生えるのではないかと思います。今日学んだことを親に共有する、言葉として表現する、それにより一層理解が深まるのではないでしょうか。園での食育体験が、話の種となり、家庭でのコミュニケーションが子どもの発達を促すと考えています。
多彩な行事で、親子のコミュニケーションを促す。
家庭での共通の話題となるような食育に加えて、たちばなこども園では「親子参加型の行事」も設けています。その狙いは、集団としての子どもの成長を保護者に感じてもらうことです。
たとえば、年に数回開催される「土曜親子ふれあいデー」では空手ボクササイズ、リズム体操、ヨガなど体を動かしながら、親子で遊ぶ活動をクラス(学年)ごとに企画しています。
土曜日に「お父さんと遊ぼう」というテーマで企画することもあります。体遊びや、傘袋飛行機づくり、ままごとなどを組み合わせ、父子参加型で楽しめる行事を設けています。お父さんが子育てに参加できる仕掛けをつくることで、なによりもお母さんが喜びます。
このような行事を通じて、子どもの成長を感じてもらい、保護者との信頼関係を築くことを目指しています。家庭との連携を図り、保護者と共に子育てする姿勢を大事にしています。
ひな祭りや端午の節句といった年中行事もその1つ。最近は兜や雛人形を持っていない家庭も増えています。そこで、たちばなこども園では、ひな祭りの際に、お雛様を背景に、女の子が打掛と振袖を着て、髪をセットして、撮影する行事を設けています。男の子は、兜を着て撮影します。重い兜に体をぐらぐらと揺らされながら一生懸命、立つ姿が可愛らしく、その写真を2L版に印刷して保護者にプレゼントしています。
このように園の活動が、家庭での共通話題となる取り組みを心掛けています。そして保護者との信頼関係を築き、家庭と連携した幼児教育を提供したいと考えています。たちばなこども園では、見学や一時保育も受け入れており、お気軽にご相談ください。
見学や体験入園(一時保育)
移住希望者向けの保育園・認定こどもへの見学サポートも行っています。また、滞在中に仕事探しや住まい探しで、お子さんを預けたいときは一時保育をご活用いただけます。
滞在拠点として、無料で利用できるお試し住宅をご用意しています。こちらは加賀市定住促進協議会が運営しています。
施設名 | たちばなこども園 |
所在地 | 石川県加賀市熊坂町ハ31番地 |
受入年齢 | 2ヶ月後 |
開所時間 | 平日 7時30分~18時30分 土曜日 7時30分~18時30分 |
電話番号 | 0761-72-3632 |
公式サイト | http://tachibana-hoikuen.jp/ |