子どもさんも大喜び
常連客の笑顔であふれる宿。
地元客のリピート率85%を誇るもてなし
専務取締役 / 帽子山 宗(ぼうしやま たかし)さん
女将 / 帽子山 麻衣(ぼうしやま まい)さん
「宝生亭」は家族の笑顔に会える宿。ファミリー客や地元常連客に愛される宿づくりを進め、高リピーター率をキープしています。赤ちゃんプラン、手間を惜しまないダイレクトメールなど独自の取り組みを行い、2016年にはミキハウス子育て総研「ウェルカムベビーのお宿」認定、郵政「全日本DM大賞」にてグランプリ受賞。お客様と心を通わすことを楽しめるサスタッフを募集しています。(2016年8月5日)
お子様連れにやさしい旅館
宝生亭のお客様のうち4割がお子様連れです。ミルク飲み放題、おむつ替え放題等、赤ちゃん向けのサービスが充実しています。山代温泉の湯は弱アルカリ性で、赤ちゃんにも優しく、ママのお肌もすべすべになる泉質です。
乳幼児を温泉に入れたがらない宿もありますが、当宿では大歓迎。おかげさまで2016年7月に、ミキハウス子育て総研より「ウェルカムベビーのお宿」の認定をいただきました。
子宝祈願、安産祈願の方、マタニティのお客様にも多くお越しいただいています。リピートでいらして、「おかげさまで産まれました」と報告してくださることもあります。お客様とのそんな関わりを大切にしています。
子育ての楽しさ、この宿で感じてほしい
私たち夫婦は、子どもが大好き。うちも4人授かりました。子どもはとっても可能性を秘めていて、将来どんなふうに成長していくのか本当に楽しみ。だからこそ幼い頃の思い出は特に大事ですよね。忘れられない体験を、この旅館で届けたいです。
宝生亭の名前は覚えていなくても「こびと探し探検ゲーム、覚えてる!」「お風呂にアヒルが沢山いたの、覚えてる!」と言ってもらえれば、嬉しいですね。最近も4階を大きく改装し、廊下をすべて本棚にして絵本フロアをつくりました。
お父さんお母さんには「この旅館に泊まってよかった」「子育てってやっぱり楽しいね」って感じてもらいたい。そんな思いでつくり上げてきた宿です。
予約電話の会話をもとに、心尽くしのサービス
宿の予約受付は、昨今インターネット予約も多いですが、当宿ではできるだけ電話予約にこだわっています。問合せの電話でいい応対をしてもらえると、もう他の旅館を見ようとは思わなくなります。ですから、インターネット予約に比べ、電話予約は成約率が高い。
なにより電話なら、お子様のお名前や食べ物の好き嫌いなど、多くの情報が得られ、細やかなサービスをすることができます。例えば、このアニメのキャラクターが好きと聞けば、お泊まり当日はテレビ番組表に機関車トーマスの絵を描いてあげたり、記念日のプレートにアンパンマンを描いてあげたり、他の旅館では手間がかかってやらないようなことをやっています。
団体常連客のリピーター率は85%にも
ファミリー客の一方、地元の常連客(団体)の比率もとても大きいです。老人会、グランドゴルフ会、息子の還暦祝い、誕生日会、会社のOB会、稲刈り後のお疲れ様会など、中には年に12回、20回とお見えの方もいらっしゃいます。顧客全体の平均リピーター率が40%ほどの中、秋の団体シーズンに来て下さる地元のお客様のリピーター率は、85%にも上ります。
当グループの観光バス事業部では、北陸3県(半径50km以内)から観光と宿泊を合わせた団体プランを提供しており、観光プログラムも毎回変化をつけることで、常連様にも常に楽しんでもらえるよう心がけています。
「旅館」ではなく「旅行」を提供したいと考えています。
建設業から転身、旅館経営の道へ
私は今はこうして旅館経営をしていますが、元々は建設会社に勤めていました。父が同じ石川県の和倉温泉で、旅館「宝仙閣」を経営しており、あるとき「渡月庵」という旅館を買い取って再生に着手しました。建設会社の立場で私も改装に携わったその宿は、予約が取れないほどの人気が出ました。
自分が最高と思える空間を創り、そこでお客様に素敵な時間を過ごしてもらう建設の仕事にはとても面白さを感じていましたが、マニュアル重視で思い通りにいかないこともありました。そんなときだったので、「旅館は自分の創り上げた空間を良いと感じてくれた人が来てくれる、面白い仕事だな」と思い、好きだった建設業を辞め、家業である旅館業に入りました。妻は、次男のサラリーマンに嫁いだのに、気付けば着物を着て旅館女将修業をする羽目になり、さぞ大変だったろうと思います。
買い取った旅館を再建、体質改善スタート
「渡月庵」で7年ほど修業した頃の2009年に、当時不良債権化していたこの宝生亭を父が買い取り、私は再建と経営をすべて任され、妻と子どもと一緒に加賀市にやってきました。
しかし、さすがに最初は頭を抱えました。借金と既存のスタッフを抱え、債権者集会からのスタート。クレームと借金返済の日々の中で、見渡せば常連客はなく一見さんばかり。飲んで遊んで、お金を使ってもらって、もう二度と来なくても構わないよ、という旧来スタイルをどうひっくり返そうか悩み、少しずつ旅館の体質改善を試みました。
「家族の笑顔に会える宿」が誕生
旅館の再スタートに当たり、まず着目したのは、客室の広さでした。当時は露天風呂付客室でカップルや夫婦層を狙うというのが主流でしたが、露天風呂付へと改修するには費用が相当かかります。宝生亭の客室は、12.5畳に控えの間と縁側付き。広すぎて持て余していたようでした。しかし、この広々とした部屋をそのまま活かし、3世代旅行などのファミリー層を狙えば、むしろカップル・夫婦層よりも部屋単価を上げられるのではないかと考え始めました。
実は、この宿のキャッチフレーズ、「子どもにやさしい宿」、「家族の笑顔に会える宿」は、私たち夫婦が共働きでこの宿に詰めていて、自分の子どもたちを連れて来ざるを得ない日も多かったため。最初から「家族の笑顔に会える宿」と言っておけば、クレームも出ないかな?と、軽いきっかけで始めたんです。
実際にやっていくうちに、「自分がやりたかったことはこれだ」と、明確に思うようになりました。
スタッフの意識がお客様の評価で変化
来たばかりのころ、スタッフに「この宿の良いところを教えてください」とアンケートをしました。「全くない」との返答でした。他所から来た私にとっては、「水は美味しいし、部屋も大きくゆったりしていて、良い旅館ですよ」と言っても、誰も信じませんでした。
しかし、実際にお客様が、「水がおいしい」、「お米がおいしい」、「豆腐がおいしい」、「仲居さんが親切」などと書いてくれたアンケートを見て、次第にその価値に気づき始め、自信も付けていったのだと思います。
そうやって次第に改善を重ね、現在のような、ファミリーや常連のお客様に喜んでいただける宝生亭になっていきました。世の中には当館よりも設備が豪華で価格が安い旅館がたくさんある中、宝生亭を選んでくれるお客様がいるということは、サービスにご満足いただけている証拠だなと感じています。
お客様アンケートで喜びの声をきく
現在のお客様アンケートは、「喜びの言葉を聞かせてください。それが私たちの元気の源になって、さらにお客様をハッピーにできますように。」というスタンスで行っています。以前は、良い・悪いの三点評価でしたが、悪いと書かれると落ち込みますよね。スタッフの士気も上がらない。だから聞き方をそのように変えたんです。すると、前よりも多くのお客様がたくさんのコメントを書いてくださるようになりました。
アンケートを書いてくれたお客様には、ダイレクトメールを送っています。ほぼ毎月発行している「宝生新聞」では、宝生亭のニュースや私たち家族や子どもたちのこと、今月のお客様や今月のおすすめグルメなどを紹介。また、当宿オリジナルの観光情報誌「すぐる」では、B級グルメ情報やおすすめ海水浴場の情報などを紹介しています。(ちなみに「すぐる」は息子の名前から命名しています。)また、市内の様々な観光パンフレットもお送りしています。宝生亭がある山代温泉に限らず、片山津温泉や山中温泉の宣伝もします。
中小企業はチャンスだらけ
採用に関して、大手の人材採用会社の求人メディアを通すと、どうしても給料や知名度などのスペックで選んでくる方が多い。そうすると、「イメージと違う」と言って辞めていく方も多いのが現状です。私は、「“想い”と“想い”がぶつからないと、仕事は続かないな」と思います。インターネット上の条件だけでは伝わらないことが多い。人伝いが一番大事ですよね。
大学を卒業して旅館に勤めようと思う人が少ないのは、もったいないなと思います。中小企業はチャンスだらけなのに、学生さんはそれを知らない。中小企業はオーナーに近くて評価が反映されやすいから、自分の力で給料を上げることも大企業ほど難しくない。
コミュニケーション好きに向く職場
様々な業種で人材を募集していますが、特にフロントスタッフを必要としています。子どものお客様が多いので、保育士や管理栄養士の方にも来ていただきたいです。夏休みシーズンのアルバイトに、保育士を目指している大学生さんが来てくれたときも、とても助かりました。
お客様のリピート率は、スタッフとの接地面積の広さだと思っています。フロントのスタッフが名前を覚えていてくれたとか、仲居さんが飴ちゃんをくれた等でもいいんです。そういうコミュニケーションをとることが好きな方や、名前や顔を覚えるのが好き、という方が来てくれると嬉しいですね。心を通わせようとする人、自分からコミュニケーションを取ろうとする人が向いていると思います。家庭的で親しみやすい旅館のあり方に、共感してくれる方がいいですね。
スタッフのレベルの高さに自負
当館で働いている仲居さんは、本当にレベルが高いと自負しております。一般的な旅館には、仲居を束ねる仲居頭さんがいらっしゃいますが、当館はフラットな職場です。他の旅館であれば仲居頭ができるような方が、複数いらっしゃいます。毎月のミーティングでも、常に課題を持って取り組んでくれています。
例えば、最初は予約の取り間違えなどで心配させられたあるスタッフは、責任感を持つようになってからは、ぐんと成長しました。子どもさんの名前や顔をしっかりよく覚えていて、今ではお客様のファンも多いんです。そうしてスタッフ1人1人にファンが増えていったら、スタッフ全員分のファンを合わせると、宝生亭ファンがすごい数になります。
働き始めは大変かもしれませんが、顔馴染みのお客様がリピートしてくれるようになってからが楽しいんです。「自分のお客様」と思えることが大事です。お客様と関わった時間によって自己評価ができていきますし、「私は今日、いい仕事ができたな」と思えることが、将来にわたる「やりがい」に繋がります。
仕事が楽しければ、人生が楽しい
昨年、スタッフに「3連休で旅行に行ってきなさい」という取り組みをしました。旅行を売っているのに他の観光地を見なかったら、勉強になりません。3連休のうち少なくとも1日はどこかに旅行に行くことにして、絵日記を書いていただきました。 私たち自身も、子どもと一緒によく家族旅行に行きます。観光業は楽しさを売る商売なので、まずは自分が楽しく過ごすことが大切。それは、スタッフも同じだと考えています。
普通の旅館では考えつかないことを、自分の好きなことに掛け算してやっていく。そうすると仕事が楽しくなります。仕事が楽しくなれば、人生が楽しくなる。
楽しそうにしていたら、子どもたちがその背中を見てくれます。「そういう大人に、自分も早くなりたい」と思ってくれるでしょう。それが、私たち夫婦の理想です。
事業所データ
企業名:山代温泉 加賀の宿 宝生亭
代表者:専務取締役 帽子山 宗
所在地:〒922-0257 石川県加賀市山代温泉桔梗丘1-80-1
連絡先:TEL:0761-77-1143 FAX:0761-77-3046
事業内容:温泉旅館業
WEB: http://www.housyoutei.com/
Facebook:https://www.facebook.com/housyoutei/