柴山潟のほとり、片山津温泉の歴史を見てきた宿。
源泉の湯に浸かれる大浴場

代表取締役 / 鹿野 祐司さん
創業百余年。片山津温泉でも屈指の湯量を誇る、源泉元湯の宿。全客室より柴山潟を望む湖畔の眺望も、訪れる人の心を癒しています。
ここで一緒に働いてみませんか。加賀温泉郷の自慢の湯と食、温泉旅館のおもてなしでお客様に寛ぎの時間を提供し、喜んでいただける仕事です。

 

片山津温泉のはじまり、湿地帯に温泉が湧いていた

片山津温泉は、加賀市の3温泉の中では一番新しい温泉ですが、それでも開湯から600年以上が経ちます。いま片山津の旅館群が立ち並ぶ辺りは、昔は湖でした。

現在の湯の元公園の所が、温泉が湧いている所です。温泉が湧いていることは昔から知られていましたが、なにぶん湖の湿地帯ですから、温泉だけを分けて利用する方法がない時代が長くありました。湧いている所に盛り土をし、湯を引いてくるための埋め立てをして、利用できるようになりました。

明治の絵図に、湿地帯を竹の筒で引っ張ってきたようすが描かれて残っています。その器具も、愛染寺に残っています。

柴山潟の湖畔には温泉旅館が立ち並んでいる。

 

 

片山津温泉大火の被害を超え、再建

当館は以前、今の砂長谷公園の少し奥まった所にあったと聞いています。昔の地図には、「かの旅館」と書いてあります。昭和44年に「かのや」という屋号に変わりました。

昔は木造の和風旅館が並んでいました。その後、高度経済成長の真っ最中に、全国的に旅館の大規模化が進み、旅館がホテルの形式を受け入れるようになっていきました。その頃に私の両親が、旅館にホテルの良さを取り入れようと、全館を取り壊し、新しく今の場所に立て直しました。実はその翌年、私が中1の頃に片山津温泉で大火があり、この辺りが焼け野原になりました。うちが建て直したまさに翌年ですから、「さすがに再建は無理だろう」と、真っ先に噂されていたようです。結果的には、それから再建を果たしました。

 

「おもてなし」は旅館用語

今の日本は、モノ作りの時代を経て、観光産業が次の産業として重要なポジションにあります。観光立国で外国人を「おもてなし」する時代です。にもかかわらず、旅館が採用の場面でハンディを抱えているのは一番の問題です。お客様に楽しんでいただく仕事ですので、皆様がお休みの日が、私たちは忙しい日。お友達がみんな休みなのに、働かなきゃいけない。勤務時間も早出・遅出とシフト制にして、できるだけ緩和に努めてきていますが、それでも「この時間だけは」というのがやはりあります。そして、スムーズに満足のいく事ばかりじゃなく、クレームを受けたりすることもあります。

人とふれあって、笑顔で接して、喜んでもらえるような仕事だということを、もっとアピールしていって、「和食文化」と「旅館のおもてなし文化」を理解してもらいたい。「おもてなし」は旅館用語です。

 

 

日本人のコミュニケーション方法と娯楽が変わり、宿の使われ方も変化

かつて、旅館に来る目的のひとつが、宴会をして発散することだった時代がありました。その典型が職場旅行、慰安旅行。飲みニケーションを深めることで、職場の人間関係を円滑にしようとしていた時代です。
昔は大体遊ぶパターンが限られており、その中で旅館は重要な役割を果たしましたが、今では日本人が豊かになって、選択肢が増えました。インターネットが広まって、個人的な趣味でコミュニティーを作れるようになり、楽しみ方も多様化しています。

例えば自動車産業も、若者の車離れが激しい中で、「車の生活は楽しいという文化」をアピールする時代です。旅館業も同じように、「温泉旅館という文化」の楽しみをアピールしていく必要があるのだと思います。

年配の人が「温泉は癒される」と言って下さる一方、若い人は「女子会」を楽しんだり、昔とは全く違う、旅館の新しい楽しみ方が出てきています。

 

温泉がいい。源泉そのまま。湯を褒められる
うちの旅館は湯量が多いです。お湯は加温も加水もしない、源泉そのまま。お客様に「お風呂が全然違うよ」とおっしゃっていただき、喜んでいただいております。
「風呂に入りに来てください」という気軽な旅館でもいいかなと思います。日帰りの立ち寄りも多く利用いただいております。
若く見えるためには、肌が大事。90歳の大女将は、誰が見てもそんな年齢には見えないようです。温泉の影響ですかね。私も毎日温泉に入っています。

 

 

学生客や、運動選手の受け入れ

当館は学生の合宿なども、受け入れております。旅館は一般に、学生客をあまり受け入れたがらないものですが、私は気にしませんでした。
あるスポーツイベントがあった時にうかがった話ですが、以前から体育協会の方が各温泉協会を回ったが、なかなか受け入れてもらえなかったそうです。私が観光協会長になった時に改めてお話をいただきました。それから、いろんなイベントで利用してもらえるようになりました。先日は、Jリーガーの日本代表の方がお見えになりましたよ。

 

男性スタッフも増やしたい

現在の従業員数は、アルバイト・パートも含めて、50人弱です。基本は、接客部門が占める割合が大きい。食がすごく好きといった方も歓迎です。男性の接客スタッフも増やしたいので、積極的に採用したいと思っています。
ホスピタリティやおもてなしで、男性も細やかな場合もあります。もちろん女性が得意とする部分、男性が得意とする部分、どちらもありますから、どちらもいるといい。ホテルのベルマンは男性だったりします。男だから気が付く、女だから気が付く。
インターネットやシステム関係に明るい方も、ウェルカムです。

 

英会話や、身のこなしがスマートな人材

英会話のできる人材も、今後ますます必要になるでしょう。特にそういう方は、身のこなしというか、オーラがあります。そういう、「オーラがある方が働く旅館」を見ると、「ああ、いいな」と思っていただけます。
マルチタスクは願ってもないこと。固定的に仕事をするということではなく、たとえばガイドの役割を果たしてくれる方も意識しています。例えば、お客様が「これから金沢に行くんです」という時に、兼六園などの定番をご紹介することもありますが、もう何度か来られているお客様なら、金沢ではなく「地元でどこかないかしら?」ということになる。
冬場などは、お客様をマイクロバスでご案内して、「ここから見る白山の景色は、一番ですよ」とガイドしたり、そんなちょっとした付加価値を作りたいと考えています。
意欲のある方に、そういうロイヤリティを持って働いていただける職場となれるかどうかが、最大の問題ですね。給料、休日、労働条件、もっとこうできたらと思いながら、なかなかできていないことも現状は正直あります。
この旅館の新しい姿を、これから一緒に作っていくという意欲ある方を歓迎します。

 

事業データ
企業名:かのや光楽苑
代表者:代表取締役 鹿野 祐司
所在地:〒922-0412 石川県加賀市片山津温泉乙64-1
連絡先:TEL 0761-74-0611
WEB: http://www.kanoyaryokan.co.jp/