農家と二人三脚の肥料屋さん
土作りから収穫までトータル技術指導

株式会社フクムラ
代表 福村 清美さん
専務取締役 福村 篤郎さん

創業明治30年、社員数6名の小さな老舗肥料屋。「土作りから収穫までをサポート」というコンセプトを打ち出し、北陸3県の農家へ肥料等を販売しています。営業職として田畑や果樹園を巡りながら、あらゆる農作物に精通した「農業アドバイザー」を目指せる会社です。(インタビュー:2018年12月)

 

農家の御用聞き

加賀温泉駅前に広がる田園の向こうに、肥料が山積みされた倉庫があります。敷地1000坪の倉庫から、1袋20㎏近くの肥料をトラックに幾つも載せて、農家のもとへ届けます。

ところが、フクムラの仕事は肥料配達に留まりません。栽培相談も承っています。弊社の目標は「農家の稼ぎを増やす」ことです。いかに農作物の味を高め、収穫量を増やし、病虫害を減らすか。これらの問題を農家さんと二人三脚で乗り越えることこそ肥料屋の仕事なのです。

現在、その一翼を担う「農業アドバイザー(営業職)」を募集しています。

専務取締役の福村篤郎さん

 

北陸三県の農家をサポート

売上の大部分を占めているのは、水稲農家からの発注です。加賀市には2400~2500軒の稲作農家がおり、福井県にも多くの稲作農家さんがいらっしゃいます。中には40~50町(約12万~15万坪)の大型水田を営む農家さんも多数います。

そこで、春と夏には農家巡回を行っています。長靴を履き、田んぼへ駆け込み、順調に育っているか、デジタル計測器でチェックします。肥料が適量だったか確認するためです。

秋の収穫後にはお米の質を計測します。タンパク質の含有量、未熟米のパーセンテージなどのデータを農家さんにお伝えし、来春に向けた改善策をいっしょに練ります。そのようなキメ細かい活動を通じて、北陸三県の農家さんとお付き合いがあります。

 

梨ほんらいの甘み

加賀は、梨栽培が盛んで、梨農家さんともお付き合いしています。お勧めはアミノ酸とミネラルが豊富な肥料です。土に混ぜることで「本来の甘み」が強まります。

ポイントは肥料の量。与えすぎは禁物です。実が肥大化すると、甘みが薄まってしまいます。加賀の梨農家の間では、水臭い梨を「大根を噛んどるみたい」と皮肉る言葉があります。

シャキッと噛むと、たちまち甘みの広がる梨を育ててもらうためにも、肥料の「効用」と「副作用」を伝えることが肝心です。

 

農作物のお医者さん

昨今、梨農家の間で問題視されているのが「黒星病」です。黒い斑点が、葉や果実に表れ、見栄えが悪くなるという農家泣かせの病です。そこで予防のための肥料や農薬を販売し、どの時期につかうと効果的かをアドバイスしています。

病虫害は、農家にとって死活問題です。早めの予防策が欠かせません。とはいえ、梨も生き物。何が起こるか予想が難しいのも事実です。万が一、病気に侵された場合は迅速に対処方法を考えます。

 

農家の稼ぎを最優先に

美味しい作物が獲れても、売り先がなければ、農家は儲かりません。そのため農家とバイヤーのマッチングも手掛けています。

約20年前、小柄で食べやすいグリーンボール(キャベツ種)の販売を仕掛けたこともあります。当時、農家の稼ぎは不安定。収穫量が少なければ売値は上昇し、収穫量が増すと売値は安くなるという、おぼつかない状況でした。

その打開策として「営農研究会・蔬菜部会」を立ち上げ、農家の収益安定を目指しました。まず農家とバイヤーにヒアリングし「1玉80円」と価格を設定しました。1反(約300坪)で3000玉は採れるため、24万円の収益は固いのです。お米より稼げることが理解され、販売に漕ぎ着けました。販売手数料は戴きません。農家さんの実入りが少しでも良くなれば幸いです。

 

配送費を抑え、農家に還元。

農家さんに、よりお安く肥料を届けるために、私(専務)自らトラックを走らせ、県外まで仕入れに出かけることもあります。配送では20㎏の肥料を100~200個ほど手積みすることもあり、Tシャツが3~4枚あっても、汗でびしょ濡れになります。

きつい肉体労働もありますが、農家さんが「いい野菜採れたよ」「儲かったよ」と知らせてくれると、やっぱり胸に沁みます。

 

2年間、田畑を駆け巡ると。

肥料配達、生育チェック、栽培相談と、フクムラの仕事は多岐に渡ります。そのため農業アドバイザーとして経験を積むことで、あらゆる農作物に精通するよう鍛えられます。

水稲をはじめ、キャベツ、トマト、サツマイモ、オクラ、梨などお得意様は多種多様な作物を栽培しています。さらに相談内容も「味の向上」「収穫量アップ」「病虫害の予防と対処」と様々です。

そのため2年ほど田畑を駆け巡る内に、農家さんにアドバイスできるようになれます。未経験者であってもご安心ください。

 

創業130年の実践知
稲の声を聴く肥料屋さん

農家さんから学ぶことも沢山あります。私(代表)がまだ駆け出しの頃、あるベテラン農家さんと田んぼの畦道に腰かけていた時のことです。

「あんちゃん、稲の声が聴こえるか」と不意に尋ねられました。
「稲が喋るんですか」
「ここ、もうすぐ病気なるぞ。これ見つけたら、他の農家さんにも知らせてあげね」と教わりました。

専門書を読んでも区別できない病例も、農作物に触れていると徐々に分かるようになります。そうやって農家さんと仕事をする内に「こうすれば美味しくなるよ」「もうすぐ病気になるよ」と農作物の声が聴こえるようになるのです。

 

田んぼは、農家の命だから。

かつて加賀市にも多くの肥料屋さんが残っていました。昭和の頃には、まだ零細農家が沢山いました。借金を負って、泣く泣く田んぼを売り、小作人として稲作を続けるしかなかった農家も少なくありませんでした。

その田んぼを買い集める肥料屋さんも多々いました。地主となった肥料屋は、農家さんに土地を貸すことで、儲けていたのです。

ところがフクムラは、田んぼを一切持ちませんでした。田んぼは農家の命ですから、農家さんへの技術指導・販路紹介によって肥料屋としての基盤を固めてきました。

多くの肥料屋が廃業していく中、いつの間にかフクムラは南加賀エリアで唯一の存在となっていました。

 

農業三方良し

いまや外食産業の商社が、農家から直接お米を買う時代です。そこで商社と農家の間に、フクムラが入り、利鞘が良くなる交渉を引き受けています。誰かが独り勝ちするのではなく、農家もバイヤーも肥料屋も儲かる「三方良し」の関係づくりを心がけています。

そうやって三者が手を取り合うことで、新しい時代が拓かれていくのだと思います。これからは農家のブランディング化も求められる時代です。私たちと一緒に農家さんを支えてくれる仲間を募集しています。

 

事業所データ
企業名:株式会社フクムラ
代表者:福村清美
社員数:6名(平成30年12月現在)
所在地:石川県加賀市中代町24
電話番号:0761-77- 3646
WEB:https://www.fukumura.co/