Corporate Interview
社会資本の保全と「家守」を目指す
代表取締役 小中出 佳津良さん
地域の建設業として、きめの細かい仕事を積み重ね、信頼を確立してきています。有資格者を多く抱え、公共事業および民間の建設を、元請けとして手掛けています。
人材確保の難しさ
私どもの仕事は、地域の景観を作る仕事であり、地域の地図にも残っていきます。地域においてそうした重要な役割を担う仕事だ、という気概を持って取り組んでいます。
しかし、建設業への社会的な評価は決して高いとは言えません。災害時の初動や厳冬時の除雪も、建設業は先頭に立ってやっていますが目立ってはいません。例えば東日本大震災の際も、自衛隊や消防団等は広報がしっかりしていることもあり、活動が評価されています。彼らと共に地元の建設業の人たちも、被災に合いながら復旧作業を行ったりしましたが、なかなか認めてもらえていない面があります。
一方で”公共事業は悪者みたいなイメージ“だけがむしろ増幅されています。
新卒採用を続けている
従業員は22~23名。新卒者の採用もここ数年継続的に行っています。良い人がいれば中途でも採用したいというのが本音です。
資格を持つ経験者がいれば、歓迎します。工事施工には施工管理士や管理技術者などの資格が必要なので資格があれば有利ですが、入社後でも取得することができます。当然、若い人の育成にも取り組んでいます。
社員を雇用する時には、先が見えないと雇えません。仕事が継続的にあるかどうかです。先細りが予想される公共事業には多くは期待できないので、民間事業でどれだけ仕事を確保できるかが課題です。
社歴
創業は昭和27年。大正5年生まれの父が創業しました。父はもと職業軍人で、27~28才の時には約800人位の軍人をまとめていましたが、終戦後のシベリア抑留時代はバイカル湖近くの炭鉱で強制労働をさせられていました。昭和23年頃に日本に戻ってきた時には、農地改革で少しばかりの農地も無くなり、手っ取り早い仕事として土建の仕事に従事しました。ある方の勧めで独立し、最初はその方の会社の軒を借りて事業を始めたと聞いています。
当初は繊維や鉄工などの盛んな製造業の方々のご好意により、営繕の工事からはじめ、徐々に公共工事も施工するようになってきました。しばらくして大聖寺内に事務所を構え、その後、現在地に移りました。
2代目は義理の兄(姉の夫)で、20数年間社長を務めました。私は3代目で、平成15年に社長に就任しました。
土木をメインにスタートし、建設も
最初は、土木関係の仕事をメインにしていましたが、当時からしていた企業の建物や設備の修繕から更新、新築の工事も増えてきました。以前は8兆円あった公共事業は、今は4.5兆円位になっています。土木は大部分が公共事業ですが、建築では公共工事は半分もありません。
土木と建築、あるいは公共と民間では、完成品に対する評価に違いがあると思います。
公共物は工事完成に際し、工事そのものの施工評価の点数がつきます。減点法での評価になるので、75点位で合格となり、80点も取ればよい仕事をしたという印象になります。 一方、建築、特に民間住宅の場合は、100点を取って当たり前。105点位を目指さないとお客様に喜んでいただけません。そのように、土木・建築、公共・民間の両方をやっていると、社内でも発想が異なってきます。少し設計を変更すれば使い勝手が良くなる、という場合も、行政の仕事は、手続きや法律もあって設計書通りに施工することが求められますが、民間であれば変更するほうがよいという具合になります。
戸建て住宅やマンションなど、住宅建設がメインに
一般に公共工事を行う建設業は敷居が高いというイメージがあります。そこで、地域の人が入りやすいような会社づくりを進めてきています。例えば、ニュースペーパーを定期的に発行したり、町内のお祭りに積極的に参加したりしています。
家づくりを始めたのは昭和40年頃から。最初は工場の倉庫など、鉄骨の建物が多かったです。どなたでも気軽にお声掛けして頂ける会社風土にしていきたいと思っています。
業務はコーディネーター
仕事の内容は、サービス業なのかもしれません。工期を守り、求められるスペックがこなせる専門業者や職人さんに仕事を依頼し、全体を交通整理しながらロスのない工程管理、品質管路をしっかりすることです。
仕様書にはないお客様の希望をくみ取り、現実の建築物や構造物に反映していく能力が必要になります。
これからの建設業は、維持管理が中心。お客様の「家守り」に
建設業のこれからの進む道のひとつに、既に出来ている社会資本の維持管理があります。様々なストックをどう管理していくかということが問題で特に住宅においても同じことがいえます。地域の小さな建設会社というのは、代わりは幾らでもいます。そんな中で生き残っていくには、地域の中で御用聞き的な動きをする「家守り」のような存在として認知され、「どんなことでも、あそこに頼めばしてくれる」と認識される存在にならなくてはいけません。
家というものは、人が住まないといけません。歴史があり古くても、人が住んでいれば家は維持できます。
町屋再生に取り組みたい
不動産業の資格も取り、業界団体にも加盟しています。土地の取得から造成、建物の建設までのワンウェイのサービスができればと思っています。
町屋再生にも取り組んでみたい。古い家の改修に係わると、昔の職人さんがどのような仕事をされていたかを学ぶ事ができ、背景にある発想も知ることができます。これは大いに勉強になるはずです。常に色々な事に興味を持っていたいと思います。
事業所データ
企業名:小中出建設株式会社
所在地:〒922-0861 石川県加賀市大聖寺地方町13−6−2
連絡先:TEL.0761−72−0711
代表者:代表取締役 小中出 佳津良
WEB:http://konakade.co.jp