患者も医師も満足できる
医療現場を目指して

管理部長 河本正巳さん
総務課長 加藤正則さん
平成28年4月、2つの旧市立病院を統合し新築移転した「加賀市医療センター」が新たに開院しました。救急体制の充実、病児病後児保育「かもっ子」、病室の全室個室化など、患者もスタッフも満足できる医療の提供を目指しています。
地域医療・総合診療ができるドクターを目指している方、都心にはない地域独特の症例を学び、地域に根付いた医療を現場で感じてみませんか?

スタッフ体制の現状

当センターは、もともと加賀市民病院(大聖寺地区)と、山中温泉医療センター(山中温泉地区)の2つが統合された病院です。

喫緊の課題は医師不足です。まず呼吸器内科の常勤医師がおりません。高齢者が増える中、呼吸器疾患は避けては通れず、呼吸器の常勤医師の確保は課題です。それ以外に循環器内科は常勤2名が勤務しておりますが、もう1~2名の医師は必要です。消化器内科も常勤医師はおりますが、まだ不足しています。

大学の各医局の訪問は行っておりますが、大学病院の医師が充足しないことには、加賀市医療センターが充足することは難しいのが現状です。また看護師の不足は今回の統合によって、ある程度充足されました。しかし欠員が発生する可能性もあるため、定期的に採用を行う予定です。

 

「地域医療」 自分がやりたい医療を経験させてくれる病院へ

大学卒業後、都内の病院への就職を希望する学生はいつの時代も一定数おります。ただ、近年の学生は、「いかに多くの症例を経験できるか」ということも非常に大事にします。地域の病院では症例数の多さ、都心にはない地域独特の症例というものもありますので、そういった環境で一生懸命やりたいという若い医師も増えてきています。

急性期の医療は、手術等を行った後、入院治療をしながら医療の資源を最大限に投入し、早く治して自宅に戻っていただくことを目的としています。一方、地域医療は、そこから先の健康管理までを含め、退院して自宅に戻ってからの在宅治療までを考えています。大学の関連プログラムのなかで、地域医療の枠を当院が引き受けることもあります。また、自治医科大学の地域医療研修の受け入れもしており、年間10名の若い医師が来られています。

地域医療に興味を持たれている若い学生も増えていますので、長期的には地域医療を教えられる医師の育成も必要になっていくと予想されます。そのなかで、私たちは、地域医療の研修ができる病院にならなくてはいけません。地域に根付いた医療を、現場で感じていただきたいです。

「総合診療」の時代へ

これからは、総合診療ができる医師を育てていく必要があると思っています。加賀市では幸いにも、総合診療科に3名の医師がおります。いずれも、教育・指導を行う事ができる方々です。

将来的には、総合診療を目指す医師の研修先としての当院の環境整備を作っていかなければなりません。総合診療を行える医師が増えると、患者さんが救急で受診したときのファーストタッチを、すべて総合診療の医師が行うことも可能になります。そうなれば、患者さんにとっても医師にとっても病院としての魅力が広がると思っています。

急患患者に対するケア

加賀市医療センターの基本方針として、「救急を断らない」ということを掲げております。高度な救命センターでの医療が必要な患者さん、当院の専門外の疾患の患者さんなどを除き、すべて受け入れております。1日20名ほどの救急患者さんが当院にいらっしゃいます。救急車も1日7件は超えており、年間の受け入れ件数は、南加賀で比較してもトップレベルになります。 当直していただいている医師が頑張ってくださっている結果だと受け止めています。

 

病児病後児保育「かもっ子」の取り組み

病児病後児保育は、統合前の二つの病院にもありましたが、引き続き加賀市医療センターでも行っております。統合の際、加賀市全体として病児病後児保育の存続を希望される声が非常に多くありました。
保育室利用登録を行っていただければ、預けていた保育園でお子様の体調が悪化した際に、連絡を受けて当院の職員が迎えに行き、代行受診からお預かりまでを行うサービスです。働いている親御さんが、急きょ仕事を切り上げる必要がなくなり、安心して仕事に取り組めます。突然の風邪・インフルエンザなどの発症にも当日の利用登録を行うことにより対応しており、現在、1日あたり6~7人、多い時には10人を越える方がご利用されております。なお、職員がお子様をお迎えにいく際にかかる交通費は必要ありません。、
このように、当院では子育て世代に対するフォローにも積極的に取り組んでおり、地域に寄り添った病院を目指しています。

 

病室は全室個室

当院では、入院時の病室は一部の集中治療室を除いて全室個室にしております。これまでの多床室では、同室の方に気を遣ったり、また声やにおいなどが気になったり、あるいは症状や男女別により病室が利用できないという場合もございました。開院からこれまで個室については好評をいただいております。個室による閉塞感が苦手な患者さんには、病室のドアを開けたままにするという運用を行うこともあります。また、これまでは患者さんが個人の希望として個室を選択した場合、1日あたりの室料差額を頂いていましたが、当院では「個室が基本」となることから、室料差額は頂きません。患者様が療養に専念できるよう努めております。

 

事業データ
施設名:加賀市医療センター
所在地:〒922-8522 石川県加賀市作見町リ36番地
代表者:事業管理者 喜多 一郎病院長 小橋 一功
連絡先:TEL 0761-72-1188 FAX 0761-76-5263
病床数:300床(一般病床204床、ハイケアユニット10床、回復期リハビリテーション病床45床、地域包括ケア病棟41床)
WEB:http://www.kagacityhp.jp