世界が注目する“発泡ポリスチレンの家”
震災地や砂漠を救う建築資材

代表取締役社長 北川 勝幸さん
世界一の「耐久性・防災・省エネ」を実現したドームハウスの製造・販売をしています。「第4の構造材」発泡ポリスチレンの建造物として、厳しい建築基準法をクリア。経営理念は「根っこが見える」安心安全なものづくり。語学や建築の知識があり、世界各国と交渉できる営業職、製造工場の作業員を求めています。
世界一の建造物“ドームハウス”

弊社が独自に開発した「ドームハウス」は、木材・鉄・コンクリートに次ぐ「第4の構造材」、発泡ポリスチレンを構造体としたドーム型建造物です。日本の建築基準法は世界的にも最も厳しい基準を定めていますが、これをクリアし、国土交通大臣認定を取得しました。

ドームハウスは、驚くべき「世界一」の特徴を多く備えています。木材のように腐ることも、鉄のように錆びることもない「世界一の耐久性」があります。次に、外気が+50℃でも-50℃でもドーム室内の温度変化が少ない「世界一の断熱・省エネ」性能があります。

さらに注目すべきは、地震や台風にも崩壊しない「世界一の防災」性です。日本家屋などは重量が大きく基礎がしっかり固定されているのに対し、ドームハウスは軽量です。地面への固定もないため、地震の揺れを逃がします。また、フォルムが流線形で風を逃すため、台風にも強いのです。

そして、ノンフロン、ノンホルムアルデヒド素材ですから、アトピーやシックハウス症候群の心配もなく、「健康」に暮らせる家なんです。住宅はもちろん、商業施設、宿泊施設など、様々な活用事例が広がっています。

 

農業用ドームハウスが農業を変える

当社のドームハウスは、世界各地の様々な厳しい環境の中でこそ、さらに最大限に能力を発揮します。近年新たに販売をスタートさせた「農業ドームハウス」においても顕著です。

断熱性に優れているため、作物を安定的、効率的に栽培できます。完全無農薬栽培にも最適なうえ、室内の気圧をコントロールすることもできるため、世界中の野菜や果物を育てることも可能になります。建築確認申請も不要で、簡単に設置できます。

 

各国政府からプロジェクト依頼が殺到

こんな小さな中小企業ですが、国家単位を相手にしています。ネパール政府から、ドームハウスで学校を9000戸作りたいという依頼や、食料自給率の低いアフリカからは農業ドームハウスで砂漠を埋め尽くしたいという依頼、さらに、イランで250万戸、インドで2000万戸など、世界各国から非常に大きな仕事の依頼を受けています。大統領や首相、大臣との交渉のため、海外に赴くことも多いです。

今後、海外で大規模な販売をするためには、現地に製造プラントを作らなければなりません。現地オペレーターを半年から1年単位で派遣したり、逆に現地の方をこちらに受け入れての教育も必要になると考えています。

 

菓子製造業の頃から、経営理念は変わらない

私の経営理念は「根っこが見える」安心安全なものづくりです。自分が良いと信じることなら、たとえ前例がなくても、恐れずに挑戦しています。

昭和38年から長く営んでいた土産菓子製造の事業でも、あえて製造過程をお客様に見せるための見学型へと工場設備を作り変え、また完全無添加による土産菓子製造を実現しました。その頃に立ち上げたのがお菓子のテーマパーク「御菓子城加賀藩」です。

 

健康テーマパークで熊本観光を底上げ

平成6年に熊本県から、熊本観光の核になる施設を作ってほしいと依頼を受けました。九州は観光のメッカですが、当時の観光客は主に大分県や長崎県に滞在し、熊本県は短時間立ち寄るだけの通過地点でした。阿蘇山のふもと20万坪もの広大な土地をどう活用するか、1年間悩み続けました。

時代が変わっても人々が変わらず求めるものとは何だろうか。私の頭に浮かんだ答えが、「健康」でした。そうして、温泉、食事、アトラクションなどを通して健康を推進する、健康テーマパーク「阿蘇ファームランド」をオープン。現在は年間300万人が訪れる熊本観光の主要施設になっています。

 

「お饅頭」に住むファンタジックな楽しさ

阿蘇ファームランドの客数が年間200万人を越えた頃、今度は宿泊機能も設けることになりました。だったら宿泊施設そのものを集客力のある物にしたいと思い付いたのが、「お饅頭」の家です。

小さい頃、お菓子の家にとても憧れていたんです。お饅頭の餡を抜いて、その中に住めたら楽しいでしょう。しかし、丸い形状の建物は、木材や鉄鋼では難しかった。そこで思い出したのが、発泡ポリスチレンでした。

 

 

菓子製造の経験からひらめき

菓子の箱詰めに木製間仕切り「経木」を使用していた頃、湿気によるカビ対策や、組立の人件費に悩まされていました。そんな時あるお客様から、「発泡ポリスチレンなら、一秒で代用品が作れますよ」と言われ、にわかには信じられないまま工場見学に行くと、プラスチック型をパチッと合わせるだけで、あっという間に同じ形のものが大量にできていて驚きました。

そうして、業界で初めてお菓子の箱詰め資材に発泡ポリスチレンを導入したのですが、その経験から、発泡ポリスチレンなら金型さえあればどんな形でも作れることを思い出しました。

 

国の認可までは、開拓者としての険しい道のり

まず建設会社に開発協力の相談をしましたが、「そんな無茶苦茶な家、国が許可する訳がない」と全く相手にされません。ならばと、膨大な時間、資金を投入し、世界最大の発泡ポリスチレン成形機械を自ら開発しました。しかし、前例主義の日本では、市役所でも県庁でも建設庁(当時)でも門前払いされるだけでした。ドームハウスの上に40トンの土嚢を乗せた写真を見せながら、根気強く実直に説得を繰り返しても、強度を測る基準値そのものがないことが大きな問題でした。木材や鉄骨ならば、太いほど強度が高く、積雪地帯の柱は15cm以上等の明快な基準があります。しかし、発泡ポリスチレンにおいては厚ければ強いというわけではなく、強度は膨張の密度によるため基準づくりが難航。

大学の先生方との検討を重ね、数年掛かりでようやく厳しい建築基準法をクリア、国土交通大臣の認定をいただくに至りました。

 

 

熊本地震に耐えたドームハウスで被災者を受け入れ

「阿蘇ファームランド」では、生涯健康な生活をしてもらおうと、平成26年頃からは65歳以上の高齢者向けサービスを一段と充実させてきました。その総まとめとなる施設のオープンをまもなく一週間後に控えた平成28年4月16日、あの熊本地震が起きました。

建物の倒壊など深刻な被害が多数出る中、宿泊施設のドームハウスは全棟無事。ドームを囲う外壁やブロックの破損のみに止まったため、避難所として直後から約600名の被災者を受け入れ、生活を支えました。その後、周辺ホテルの休業等により失業者が相次ぐ中、震災による解雇は一切しないことを社内外に宣言。家族や道路の事情でやむなく辞めてしまった従業員や、大学の休校で減少した学生アルバイトの穴を埋めるため、さらに求人募集をかけ、失業中の方々も雇用しました。

結果的に、ドームハウスの耐震性能の高さが証明され、注目を集めることになりました。

 

海外で活躍できる専門性の高い人材が必要

小さな会社ですが、ここから世界に発信するという誇りを持てる仕事です。海外との交渉は、現在は全て私がしなくてはなりません。建築の知識に基づきながら、世界の国家を相手にしっかりと交渉していける英語のスキルを持つ人材が必要です。現地でのオペレーター指導などの仕事もあります。合弁会社にはしない方針ですので、指導が終われば引き上げてきます。

英語力を生かし、海外の色々な国で働いてみたいという方に良い仕事だと思います。

 

工場作業員には体力も問われる

工場で製造機器を扱うオペレーターも募集しています。ボタン操作が基本ですが、発泡ポリスチレンを扱うため火気厳禁です。エアコンもなく、体力が必要な仕事のため、女性には過酷な現場だろうと思います。工場経験者は歓迎します。学歴は高卒以上であればいいです。

加賀の事業所のスタッフは現在10数名。営業や工場作業員は男性が多いですが、事業所内でのCADを使ったイメージ図などのデザイン職では、女性も多く活躍しています。

 

信用が何より一番大事

当社の特性上、特許や国家との交渉を扱います。採用においては、何よりも信用・信頼を大事にしてきています。人材派遣は一切使いません。地元の方ならばある程度の状況が分かって安心なために、地元採用が多かったというのが現状です。ほとんどが中途採用ですが、ここ数年、新卒者の受け入れも少しずつ始めています。

事業所データ
企業名:ジャパンドームハウス 株式会社
代表者:代表取締役社長 北川勝幸
所在地:〒922-0401 石川県加賀市新保町ロ3-17
連絡先:TEL 0761-44-2525(代)/FAX 0761-44-3968
WEB:http://www.dome-house.jp/