芸術家・職人を魅了する東谷
理想の生活を手に入れる、里山移住の選択。

塩見さんの顔

 

移住者インタビュー 塩見 貴正 Shiomi Takamasa

加賀市の山奥、東谷地区は自然溢れる環境と人間の文化が織り成す歴史的風景をもつ里山。2011年に国伝統的建造物群保存地区の指定を受けたものの、基盤産業の衰退などで人口減少が進み、空き家が増えています。一方で漆芸家や古時計職人などを惹きつけている地でもあります。

2019年の11月に野々市から東谷へ移住した塩見貴正さん。チェーンソーアートを中心とした創作活動を行う芸術家であり、古民家を借りて暮らしています。今回は「何故、東谷へ移住されたのか?」について取材しました。

(2019年12月18日インタビュー)

 

東谷地区の景観
東谷地区の家は赤瓦と煙出しが付いているのが特徴 今は少なき里山風景


間伐材に命を吹き込む芸術家、東谷を舞台に。

これまで木こりや森林調査、森のガイドの経験から間伐材の利活用に問題意識がありました。その時に出会ったのが、チェーンソーアート。最初は趣味のつもりが、いつしか夢中になっていました。

私の創作活動を支えてくれたのが、東谷だったんです。縁あって素材と場所を提供して頂き、5年間野々市から通いました。東谷の間伐材で創作するのは、森の精霊。森の精霊達は、私の小説のヒロインです。その舞台も東谷です。

現在は「森の彫刻家」・「森の小説家」・「森のガイド」の3本柱で活動を考えています。移住のきっかけをくれた方から『間伐材に命を吹き込む芸術家』と言って頂きました。これからも東谷の間伐材を使って創作活動を行い、地域に貢献したいです。

チェーンソーアート創作
福井市で開催された「ガラガラ山キャンプ場」の様子、2019年11月。

 

芸術家としての安住の地、東谷への想い。

移住のきっかけは、人との繋がり。今年の5月でした。5年間通って創作活動をする私に一言。『こっちに移住して、創作活動に専念してはどうだ。』それから東谷へ移住を考えました。

地域の方からの後押しも大きかった。過去に、東谷の白山神社前でチェーンソーアートを実演したことがあったんです。『あ~、あの方!ぜひ来てね!!』と、背中を押されました。凄く嬉しかったですね。

だから私は恩返しがしたいんです。これまでの創作活動を支えて頂き、移住も受け入れてくれた。そんな東谷を盛り上げたい。価値ある古民家に暮らし、東谷の間伐材を活かすことが、私なりの貢献だと思っています。

 

塩見さんの家
塩見さんの住まう古民家


私の彫刻作品の素材は東谷の産物、小説の舞台は東谷。ここに住むのは自然な
こと。街の暮らしは、もう充分。今後は、里山暮らしを堪能したい。「安住の地」を見つけた、今はそんな気持ちです。

 

広い古民家で実現する理想の暮らし。

白山市白峰地区に2年住んだことがあります。そこで雪対策・寒さ対策・虫対策を学びました。例えば食料を備蓄する、省エネを心掛けるなどです。あまり生活に不便は無いですね。

多彩な活動をする私にとって、広い古民家はぴったり。「ニワ(土間)」はバイクガレージ、「オエ(居間)」は囲炉裏と漆が施された空間に囲まれたギャラリースペースです。「ブツマ(仏間)」は動画配信スタジオ、「ナンド(納戸)」は執筆部屋として活用しています。

「オエ」は囲炉裏とギャラリー
「ブツマ」で動画を撮影する様子
「ナンド」で執筆活動の様子

 

 

創作活動、本格化。

これまでは生活拠点を整えるので手一杯で、約1か月かかりました。今は落ち着いたので、創作活動を進めていこうと思います。

2020年2月9日~3月3日に開催する「第14回 市民アマチュア美術展」に彫刻作品を出展します。加賀市美術館に展示されるので、見て頂けると嬉しいです。小説の続きも書き始めました。是非、加賀市の人に読んで頂きたい。創作活動に加えて、古民家・里山暮らしについてYoutubeで発信しています。

創作作品の数々
「オエ(居間)」は開放スペース お立ち寄りください。

 

未来の移住者へアドバイス、
里山暮らしのイメージがあるか。

いきなりの移住はおすすめしません。1週間くらい移住体験をしたり、何度か通ったりして生活のイメージを作ること。私は現地の方と相談する中で、移住後のイメージを持ちました。

それでも、住んでから気付くことはあります。同じ石川県でも、白峰地区と東谷地区では生活環境・気候に差異を感じます。移住前と後の、イメージの差異を埋めることが大切。地域情報は、現地で収集することをおすすめします。

 

塩見さんの活動

・2020年愛知で開催される世界大会、
「日本チェンソーアート競技大会IN東栄」に出場予定。
・Youtubeチャンネル「しおみんと ちゃんねりゅ
・塩見さんのデジタル小説『樹々は唄い、風に舞う』
(『小説家になろう』が提供するウェブページに移動します)

 

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