BENTOは海外でも注目。漆器弁当箱メーカー
1000種以上の商品でお客様のニーズに応える

代表取締役 齊官慶一さん
プラスチックお弁当箱をメインに、暮らしの山中漆器商品の企画・販売を行う会社です。国内のみならず、海外でも日本の弁当文化が注目されています。人の気持ちをつなぐお弁当箱の企画開発から製造・販売に携わってみませんか。
商品企画や製造に携わってくれる方を募集中です。

 

プラスチック漆器弁当箱が主製品

山中漆器の商品企画・製造会社です。漆器といっても木製で漆塗りという基本的なもののほかに、ここ山中にプラスチックで塗装吹付をしているものがあります。当地はこのプラスチック漆器の登場によって産業的に大きく成長を遂げ、現在、山中の漆器産業は、全国的に見て最も大きいといえます。うちの会社の場合も、プラスチックに吹付で塗装をし、印刷をして商品にするという流れでモノをつくっています。

その中で弁当箱をやり始めて25年目になり、最新の商品カタログがvol.25を数えます。ブランド名の「HAKOYA」も25年前からです。今は大手メーカーさんなどいろんなところが弁当箱をなさっていますが、25年前に出した当初は、うちだけでした。当時全盛だったギフト業界から同業他社とのバッティングを避けようと、新しい所を模索した中で、たまたま興味をひく商品が弁当箱だったんです。

 

引き出物ギフトの時代を経て

昭和の時期に、結婚式の引き出物として食器セットが注目され大人気を集め、陶器業界も漆器業界もそれに乗っかっていったことがありました。山中全体がプラスチックで一気に伸びたのも、この頃です。その流れから、今もギフトのルートは強く残っています。

そして、山中の場合はそこから派生して家電製品の時代がありました。置き時計や電話台、ホットプレート。電話台とは、留守番電話が出る前は受話器を置くオルゴールみたいなものがあったんです。この電話台がきっかけで家電の世界が開け、いろんな商品が出ました。いっときは漆器というより家電みたいな商品がたくさん作られた時期があったんです。

うちもギフトの製品を色々つくりましたが、今はギフトの比率はほとんど無く、圧倒的に弁当箱です。

 

国内に弁当ブーム、海外にもBENTOムーブメント

最近は、国内で「弁当男子」のキーワードが注目されるなど、弁当ブームでお弁当派の人が増え、暮らしに改めてお弁当が定着してきています。

面白い傾向として、海外でも「BENTO」ブームが広がっており、フランス語の辞書に「BENTO」という言葉が掲載されるようになっています。きっかけは、ヨーロッパで日本のアニメが人気を博す中、学園ものの学校シーンでお弁当が出てきたり、ドラゴンボール等でもおにぎりが登場する。そこから「お弁当」という目新しい文化に興味が持たれたんですね。さらに、日本でキャラ弁がブームだというと、それも作ってみたい。そうしてフランスからブームになりました。

 

海外にも販路拡大

実際に海外の方が、弊社製のお弁当箱を買ってくださり、使っておられます。洋書の弁当本、料理本でも、美しい盛り付け写真に弊社の弁当箱が使われ掲載されています。フランスではチェーンの雑貨店に卸したり、様々なルートで商品が動いており、ネットショップで受けた注文も、すでに何十か国になります。
我々の作っている商品に、異国の地でニーズがある。そのことをこうやって感じると、それこそやり甲斐があり、面白い仕事です。

 

多品種・小ロットが強み。新商品開発は毎年

アイテム数は多いです。カタログ掲載品だけで1,000以上。毎年商品開発を行い、3割近く入れ替えていきます。以前はそこまで多くなかったんですが、最近は、ロフト、東急ハンズなど、常に鮮度を求めて変えていく雑貨店さんが、我々の販路として強い取引先になっており、我々も常に新しいものに入れ替えていっています。

プラスチックも最終的な加工は職人がやっているため、多品種・小ロットで作れる点が、強みですね。製品デザインは、デザイン職だけ専任の社内デザイナーが現在はおらず、外部のデザイナーを利用するなど色々です。

 

山中漆器産地の特徴、連携で1つの工場のように機能

漆器産業って、分業制です。木製漆器の場合は、工程が、木地、下地、上塗り等多岐にわたり、それぞれを別の職人が手掛けます。山中漆器産地はいわば、「この地域全体が1つの工場」という感じ。本当に裾野の広い産業になっていて、まさしく地場産業です。それら工程が一つでも欠けると、ものが作れなくなってしまう。逆に、全行程を自社内でやっていたら地場産業にはまず成りません。

うちは今、企画、販売、検品等の作業を、社内で行い、それ以外は地域の職人さんにお願いするという連携でものづくりをしています。商品を企画し、木地を発注し、職人のところに持っていって、塗装をして、次は絵を付ける印刷のところに運んで、最終的に上がってきたものを、うちで最終検品して、袋詰め箱詰めして商品にして、それを出荷するといった流れです。自社に工場があるわけではないが、商品企画、原価管理、工程管理、販売管理を行います。

従業員は現在29人。中途の地元採用の方が多いです。パートさんは少なく、8~9割が正社員です。

後継者問題で、産地自体が存続の危機的状況に直面

漆器の世界でも、職人の後継者の問題はすごくあります。この地域産業全体の非常に大きな問題です。せっかく技術研修所もありますが、1人の卒業生が熟練の職人と肩を並べられる腕前になるには、もちろん多くの時間と経験が必要です。そうなるまでの卒業後の受け皿を整備し、時間をかけて人材を1人前に育てていく流れが必要です。

組合でも、育成支援の仕組みづくりに一層力を入れており、市からの支援も要請しながら、来年度以降の新しい長期の育成制度を整備しています。

 

事業所データ
企業名:株式会社たつみや
代表者:代表取締役 齊官 慶一
所在地:〒922-0274 石川県加賀市別所町漆器団地12-4
連絡先:TEL 0761-77-1717 / FAX 0761-77-1716
WEB:http://www.hakoya.co.jp/