果物と笑み実るフルーツ園
企画力で果樹園を観光地に変えた会社

支配人 岸 英樹さん
四季折々の果物が実る加賀フルーツランド。そこを運営する有限会社「三共農園」は、ブドウやリンゴといった果物を活かした収穫体験プログラム、フルーツバイキング、スムージーなど新たな事業に次々とチャレンジしていきます。果樹栽培から企画、接客までマルチな職能感覚を身に着け、それを発揮できる職場です。

 

もぎたて果実を届ける喜び

加賀フルーツランドは果物狩りを体験できる観光農園、イチゴ、ブドウ、リンゴ、サクランボ、ブルーベリーといった春夏秋冬の果物がたわわに実っています。お客様は自ら収穫し、もぎたてを味わえます。そこに観光農園の最大の魅力が詰まっています。

フルーツ狩りはハードルの低いレジャーです。繊細な技術や体力が求められるわけでもなく、おいしそうな果実をもぎ取るだけ。保育園児からお年寄りまで、観光客から地元住民まで幅広い層が楽しめます。

バースデー・フルーツの発見

リピーターも多く、毎年イチゴ狩りを予約されるご家族もいます。お子さんの誕生日が近くなると来園し、イチゴの食べ放題をプレゼントするというお母様の愛情に心がホッコリします。家族で過ごす幸せな時間が、フルーツランドで生まれていることを思うと誇らしくなります。

子どもの誕生日をフルーツで祝うという発想は、私たちにも思いつきませんでした。お客様との会話は、観光農園の新しい活かし方に気づかされる貴重な機会です。

摘みたてイチゴを頬張れるのは果樹園の専売特許

 

接客のちからで
美味しいフルーツを届ける。

フルーツランドではお客様と接する機会が多々あります。来園者との距離が近いため、お客様視点のサービスも自然と身に付きます。

たとえばイチゴ狩りでは「果実をもぎ取る楽しさをどのように伝えるか」という視点が求められます。イチゴは収穫の前日に雨が降っただけで、味が落ちることもあります。

そういったことも解説し、ちょっとでも美味しい果実を摘み取ってもらうような接客を心がけることで「果樹園のなかでフルーツを食べる」という体験そのものに感動してもらえます。

そのきめ細かい接客と感動がリピーターを惹きつけます。そういう意味ではフルーツランドの仕事はただ栽培するだけでなく、もぎたて果実の美味しさを伝えることでもあります。

リンゴの花見を保育園行事で開催することもある。

 

豪雪を乗り越え
果樹の楽園をつくった。

フルーツランドの原点には、耕作放棄地という社会課題と対峙した歴史があります。五六豪雪(1980年12月から1981年1月にかけて北陸地方を襲った大雪)で近隣のブドウ農家は壊滅的打撃を受け、果樹園再開の資金不足や後継者不足という課題が重なり、やむなく離農していく人々がいました。

耕作放棄地が増え、果樹栽培が縮小していくなか、三共農園ではフルーツ狩りを体験できる観光農園事業に着手し始めました。そして平成5年に加賀フルーツランドがオープンし、ブドウとリンゴの果物狩り体験、レストラン、ショップなどのサービスを提供する事業がスタートしました。

ブドウ狩りは近隣の農家の畑までお客様を送迎しておりますが、ほかの果実は独自に栽培に取り組みました。リンゴにいたってはゼロからのスタート。富山県から取り寄せたリンゴの木を植林し、普及員の指導のもとで栽培に取り組んでいたものの手探り状態でした。今ではイチゴ、サクランボ、ブルーベリーの栽培にも成功し、1年中フルーツ狩りを楽しめる体制が整いました。

近年はバナナやパパイヤなどの南国フルーツの栽培にも取り組んでいます。あの五六豪雪からは想像もつかない程の発展です。

アイデアも実る観光農園

試行錯誤を繰り返す風土がフルーツランドには根付いています。今なお新たなチャレンジを続けています。近年始めたフルーツビュッフェやパフェやスムージーは人気のサービスで、これらを目当てに来園されるお客様もいます。

数あるサービスの中でもイチオシなのがチョコレートファウンテンです。噴水のように溢れるチョコに、旬の果物をフォンデュして召し上がれます。見た目にも美味しい仕掛けがお客様に大人気です。面白い発想かつ採算のとれる事業はどんどん実現していくつもりです。現場で働く人のアイデアを育み、実らせることも私たちの仕事です。

フルーツランド名物「チョコレートファウンテン」

 

発想と技術を借りて
夜市とヨガとアート教室。

しかし社員のアイデアだけでは限界があることも事実です。外からの視点がフルーツランドを飛躍させることもあります。近隣に暮らすプロフェッショナルから新しい発想と技術を借りることで、私たちでは思いつきもしなかったことに挑戦できます。

たとえば2017年には「篝火夜市」というイベントをフルーツランドで4回開催しました。このイベントは地元農家の野菜や果実を使ったフード&ドリンクを食べられるナイト・マーケットです。2018年には、1000円で8品の食べ物がセットになった「篝火定食」を20食限定で振舞ってもらいました。しかし、ただ食べるだけではないところがこのイベントの面白いところ。農家と食べる人が交流することで、野菜や果物が育てられるストーリーも味わえるという企画です。農家の苦労を知れば、食べ物へのありがたみも湧いてきます。

篝火夜市を企画したのは、近隣の海水浴場で海の家やシェアハウスを営んでいる人です。そのほかにもツーリズムで起業を目指している若者に果樹園ヨガ教室を開いてもらったり、葡萄の木の下でお絵かきするアート教室を開催したりもしました。自分にはない知恵と技術をもった人々との連係プレーもフルーツランドで働くことの魅力です。

篝火を目印に、人々が集う夜市。
生産者と飲食店がコラボした屋台が10軒ほど並ぶ。

冬のイチゴを育てるIoT

また行政や大学とも連携し、新技術を活用するプロジェクトも進めてきました。数年前から冬季にイチゴを安定して栽培する実験に取り組んでいます。夜間に赤色のライトを当てるイチゴ、緑色のライトを当てるイチゴ、赤と緑のライトを当てるイチゴと栽培方法を変えて、味や成長の変化を測りました。

最近はIoT(Internet of thingの略。モノとインターネットを繋げること)でビニールハウス内の温度と湿度と日照時間の変化をデータ管理して、安定的に苺が栽培できるような改善しています。組織的に新しいことに取り組むことで、個人で農園を営む以上の魅力を育んでいきたいです。フルーツを活用して新たな挑戦を始めてみたい方は、ぜひご相談ください。

〈事業所データ〉
有限会社 三共農園
代表者 : 支配人 岸英樹
所在地 : 石川県加賀市豊町イ59-1
連絡先 : TEL.0761-72-1800
公式ページ:http://furulan.com/